クラウドマイグレーションとは?オンプレミス環境の違いについて

【企業向け】クラウドマイグレーションとは?オンプレミス環境との比較解説

総務省の「令和2年版情報通信白書」によると、企業によるクラウドマイグレーションの割合は64.7%(令和元年度:58.7%)でした。このことからも、自社で物理的なサーバを保有して管理・運用するオンプレミス形態の環境から、クラウドマイグレーションする企業が増加傾向にあることが分かります。クラウドマイグレーションによって、クラウド環境に移行すれば、コストの大幅カットが見込めるといわれていますが、他にもさまざまなメリットがあります。本記事では、クラウドマイグレーションとオンプレミス環境との違いについて解説していきたいと思います。  

クラウドマイグレーションとオンプレミス環境との違いについて

ここでは、クラウドマイグレーションとオンプレミス環境との違いについて解説しています。その前に、クラウドマイグレーションについて詳しくみていきましょう。

クラウドマイグレーションとは?

クラウドマイグレーションとは、自社内に設置した物理的なサーバで運用してきたシステムを、外部の事業者のクラウド環境のサービスでのシステム運用に切り替えることです。和訳すると、「クラウド化」「クラウド移行」といった意味です。  クラウド環境とは、従来、個々のストレージや自社の物理サーバに保存していたデータを、外部の一ヵ所で集約・管理し、必要なときにインターネットを経由して利用できる環境のことで、そのクラウド環境を提供しているサービスのことを総称して、「クラウドサービス」と呼んでいます。クラウドサービスは、利用者が場所を選ばずどの端末からでも利用することができることから、数年前から需要が高まっています。そして、このような社会的背景から、企業のクラウドマイグレーションへの移行が進む傾向にあるということがいえます。  

オンプレミス環境との違いは?

もともと、大手企業を中心に導入が進んできたオンプレミス環境。オンプレミス環境とは、自社内に設置したサーバ-や情報システム設備で、社内のさまざまなシステムを運用する環境のこと。和訳するとは、「自社運用」という意味です。それでは、企業が導入するクラウドマイグレーションとオンプレミス環境には、どのような違いがあるのでしょうか。クラウドマイグレーションとオンプレミス環境との比較項目として、下記の5つを挙げることができます。
  • 品質
  • コスト
  • 調達スピード
  • カスタマイズ性
  • セキュリティ面
この5つの項目を下表にまとめてみました。
クラウドマイグレーション オンプレミス環境
品質 オンプレミス環境に比べて通信速度が劣る  通信速度は速く、安定している
コスト 基本、月額利用料以外の費用がかからない 初期導入費や維持・管理費など、さまざまな費用がかかる 
調達スピード 即日の利用開始が可能 利用できるまでに時間がかかる
カスタマイズ性 自由にカスタマイズできない 自由にカスタマイズが可能
セキュリティ面 自社での対策は必要ない 自社で対策が必要となる

<品質>

5G化などにより通信速度は年々向上しています。しかし、クラウドマイグレーションでは、ネットワークを介して離れたところにあるサーバへアクセスするため、回線の速度と質は安定していません。一方、オンプレミス環境は社内のネットワークを利用しているため、回線の速度と質が安定しています。ただし、オンプレミス環境の品質は、サーバ・システムを構築したエンジニアのスキルによって差異が生じます。

<コスト>

自社内に物理サーバを設置してシステムを運用するためには、必要となる機器の購入費や設置に関する工事費など、さまざまな初期費用がかかります。また、運用や管理にもコストがかかり、拡張となれば新たな購入費や工事費などが必要です。しかし、クラウドマイグレーションを導入すれば、自社でサーバー環境を保有する必要がないため、初期費用だけでなく、運用・管理に必要となる費用を大幅に抑えることができます。ただし、利用するサービスによっては月額利用料は利用した従量によって変動することがあります。そのため、月額費用が固定されるオンプレミス環境と比べて予算化が難しい場合もあります。

<調達スピード>

必要となる機器の購入や工事が必要になり、設置しても調整しなければ運用がスタートできないのがオンプレミス環境です。そのため、調達・導入・運用には相当な時間がかかります。クラウド環境はオンプレミス環境と比べてすぐに使用可能であることが特徴です。自社のシステムにマッチングするための調整時間は必要ですが、サーバ構築を自社内で行わないため、調達スピードはクラウドマイグレーションの方が圧倒的にスピーディーです。

<カスタマイズ性>

クラウドマイグレーションするデメリットとして、システムのカスタマイズが行いにくいことが挙げられます。一方、オンプレミス環境は、自社でサーバー・システムを管理・運用しているため自由にカスタマイズすることが可能です。しかし、クラウドマイグレーションをは、契約した他社が提供しているサービスを活用しているため、システム環境を自由に変更・カスタマイズすることは困難です。ただし、リソース面でのカスタマイズは可能なサービスが多く、リソースのカスタマイズ性でいえば、オンプレミス環境よりも優れています。

<セキュリティ面>

企業を狙った新たなサイバー攻撃の手法は年々増加しています。オンプレミス環境では、障害が起きたり、サイバー攻撃を受けた場合、自らでWebセキュリティ対策をしなければなりません。しかし、クラウドマイグレーションは提供する会社が基本的なWebセキュリティ対策を行うため、コストをかけずにセキュリティ対策を取ることは大きなメリットといえます。ただし、外部とのネットワークを利用するクラウドマイグレーションは、外部からのハッキングや情報漏れなどのリスクは高くなるため、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)等を導入しセキュリティを更に強固にする必要もあります。  

企業がクラウドマイグレーションに移行する3つのメリットとは?

次に、企業がクラウドマイグレーションに移行する3つのメリットについて解説します。

<低コストで導入可能>

一般的に、オンプレミス環境でシステム運用する場合は、下記のような費用がかかります。
  • サーバーの設置費
  • 付帯設備費
  • ハードウェアやソフトウェアの購入費
  • ライセンスの購入費
  • システムの維持・管理費
これらの費用は、場合によっては数千万円かかることもあり、企業運営にとって大きな課題でした。しかし、クラウドマイグレーションであれば、これらのコスト削減が可能です。さらに、システム運用や維持・管理のために、エンジニアなどの専門家を雇う必要もなくなるため、人件費も抑えることができます。

<障害時にかかる復旧が容易>

どんなに慎重にシステム管理していても、突然何らかの原因でシステムに障害が発生する危険性はあります。もし、オンプレミス環境で運営していれば、障害が発生した場合自らで対応しなければなりません。社内に専門チームがあればすぐに復旧できますが、そうでなければ復旧には相当な時間を要します。  それに対してクラウドマイグレーションは、障害への対応は基本的に提供会社が行います。しかも、専門的な知識を持つ運用スタッフが対応するため、短時間で復旧することは大きなメリットといえるでしょう。  また、障害時にサーバが破損して、会社の大切なデータが失われてしまうリスクも軽減できます。

<屈強なセキュリティ>

クラウドマイグレーションでは、経済産業省の「クラウドセキュリティガイドライン」をベースに、情報セキュリティ管理・対策を行っています。経済産業省が策定した「クラウドサービス利用のための情報セキュリティマネジメントガイドライン」の通称で、クラウドという概念が広まった当初、運用にあたっての明確なルールは存在せず、多くの顧客情報や社外秘とされる情報が流出する危険性がありました。この問題に対処するべく策定され、発生した事例に対応できるように制定されたルールが「クラウドセキュリティガイドライン」です。詳細を見ると、企業のクラウドマイグレーション運用において、クラウドセキュリティガイドラインに則ってWebセキュリティ管理を行っているため、安心して利用できるということです。 ちなみに、クラウドマイグレーション事業者が適切なデータ保護やセキュリティ対策を実施していることをマークとして表示する制度もあります。実績のある会社のクラウドマイグレーションであれば、屈強なWebセキュリティ対策も可能でしょう。 しかし、クラウドを導入するにあたって、注意しなければならないこともあります。IaaS、PaaS、SaaSなど種類によって違いますが、ユーザ側にもセキュリティ面での責任はあります。例えば、SaaSの場合、クラウド上のデータ管理についてはユーザの責任範囲であることが一般的です。 だからこそ、オンプレミス環境であっても、そしてクラウド環境であっても、ユーザ自らセキュリティに対して徹底的な検討を行い、どのようなセキュリティ対策を導入するかを決定していくことが求められます。 詳しい内容は下の記事を参考してください。 https://www.cloudbric.jp/blog/2021/03/cloud_security_u_must_know/  

さいごに

今回は、企業におけるクラウドマイグレーションをテーマに解説してきました。クラウドマイグレーションには、コスト面やセキュリティ面など、多くのメリットがあるため導入を検討している企業も増加傾向にあります。しかし、すべての面でクラウドマイグレーションがオンプレミス環境より優れているということではありません。 例えば、オンプレミス環境で利用できていたシステムが、クラウド環境にしたら利用できないこともあります。また、トラブルが発生したりするなど、クラウドマイグレーションに移行したことによって、既存システムとの連携が困難となるケースも報告されてます。 そして、十分な検討なく短期間でクラウド移行を進めることによって外部からのハッキング等に十分に対策を取っていない状況でセキュリティ事故が起きたりするケースもあります。 そのため、企業でのクラウドマイグレーション導入は、セキュリティ対策を含めて、慎重に検討しましょう。   クラウド型WAFサービス「Cloudbric WAF+」 https://www.cloudbric.jp/cloudbric-waf/ ...
株式会社ワールドスカイ

株式会社ワールドスカイ様の導入事例が公開

株式会社ワールドスカイ様の Cloudbric WAF+の導入事例が公開されました。 導入までの経緯、感想、導入効果、おすすめのポイント等について紹介しております。 ぜひご覧ください。 https://www.cloudbric.jp/reference/2021/08/worldsky/   ...

【2021年8月】定期Webセミナーのお知らせ

本セミナーでは、Cloudbric WAF+の新規機能の使い方、仕様変更のご案内を初め、セキュリティトレンド情報や、導入事例など、パートナー様に役立つ情報をお届け致します。 8月のテーマは「【営業フローのご紹介】よくあるご質問」です。Cloudbric WAF+の営業時のフローとよくある質問などについてご紹介いたします。   ■日時 : 2021年8月18日(水)15:00 ■テーマ : 【営業フローのご紹介】よくあるご質問 ■対 ...

2021年度版サイバー攻撃の動向

サイバー攻撃の動向や事件・事故とは?セキュリティ問題について考察!

コロナ過を踏まえインタネットは個人だけでなく企業・法人にも欠かせない存在となり、2021年現在、企業におけるデジタル化への対策は待ったなしの状況となっています。インタネットを通じて日々膨大な情報が行き交っていますが、世界規模でみれば同時に悪意のある第3者によるサイバー攻撃事例が日々発生しています。 このようなサイバー攻撃に対抗する手段として、政府も「サイバーセキュリティ基本法」を策定するなど動きか活発化しています。サイバー攻撃を防ぐためにも、Webセキュリティ対策は最重要です。また、現代社会におけるサイバー攻撃に関する動向や、直近で発生した事件・事故、セキュリティ問題についても知っておく必要があります。  本記事では、2021年度上半期に発生したサイバー攻撃の事件・事故などについて解説しています。  

2021年度!セキュリティ問題と脅威ランキングTOP3

まずは、2021年度に発生した脅威やセキュリティ問題について、詳しくみていきましょう。

3位|テレワークなどのニューノーマルな働き方を狙ったサイバー攻撃 

2020年以降、新型コロナウイルスの感染防止を目的に、テレワークでの働き方が推進されています。このような社会的な背景から、テレワークなどのニューノーマルな働き方を狙った企業へのサイバー攻撃件数が増加しています。そもそも、悪意のある第3者がテレワークでの働き方をターゲットとする理由は、従業員の出社を前提とした従来のWebセキュリティ対策ではカバーできないことが挙げられます。つまり、企業努力によるWebセキュリティ対策を施していても、従業員個人では認識が甘く、穴を突いてサイバー攻撃を仕掛けてくるということです。また、突然の緊急事態宣言の発令で、セキュリティ対策に関する計画を立てる間もなくニューノーマルな働き方の導入をすることになった企業も少なくありません。そのため、ニューノーマルな働き方を推進している現代社会において、Webセキュリティの脆弱性が問題視されています。 

2位|標的型攻撃による機密情報の窃取 

機密情報を狙った標的型攻撃は、2021年度も継続して発生しています。標的型攻撃とは、明確な目的を持って特定の企業などに狙いを定めて仕掛けるサイバー攻撃のことです。悪意のある第3者が標的型攻撃を行う目的は、攻撃対象への嫌がらせが目的です。また、その際に機密情報を窃取するケースも少なくありません。 金額的被害だけでなく、顧客の個人情報など企業にとって致命的な情報が流出した場合、Webセキュリティが問題視され、取引停止や企業イメージの失墜など、間接的被害を受ける可能性もあるので要注意です。

 1位|ランサムウェアによる被害 

2020年度は5位だった、ランサムウェアによるサイバー攻撃が、2021年度は急増しています。ランサムウェアとは、コンピュータウィルスの1種で、「Ransom(身代金)」と「Software(ソフトウェア)」を組み合わせて作られた造語です。パソコンだけでなく、タブレット端末やスマートフォンのOSにも感染する危険性が伴います。 ランサムウェアに感染すると、Webセキュリティ問題が発生して保存しているデータが、勝手に暗号化されて使えない状態にされたり操作できなくなったりしてしまいます。企業や店舗に嫌がらせをすることが目的の場合もありますが、復旧を条件に悪意のある第3者が金銭(身代金)を要求してくるケースも少なくありません。また、金銭を支払っても、ランサムウェアによる攻撃で窃取された情報やデータを暴露されてしまうケースも発生するため、このような事例では、絶対に身代金は支払わないようにしましょう。  

2021年度!サイバー攻撃の動向や事件・事故の事例3選

次に、2021年度に発生したサイバー攻撃の動向や事件、事故の事例を紹介します。なお、GSX発表の「2021年ニュース一覧」を参考にしています。

ランサムウェア攻撃の事例(DearCryによる攻撃)|2021年3月

2019年後半以降、ランサムウェアによる攻撃は2重の脅迫を用いた手口での攻撃が増加しているだけでなく、新種・亜種のランサムウェアウィルスが続々と確認されています。 2021年3月16日にはMicrosoft社が、「Microsoft Exchange Server」のWebセキュリティの脆弱性を悪用した「DearCry」と呼ばれる新しいランサムウェアが確認されたことを発表しました。「DearCry」は、悪名高いランサムウェア「WannaCry」の亜種だとみられています。「Microsoft Exchange Server」 のオンプレミス版に存在している複数のWebセキュリティの脆弱性が、パッチによって修正されるまでにゼロデイを狙ってばらまかれました。 その後は、米国やカナダ・オーストラリアを中心に、多くのサイバー攻撃やWebセキュリティ問題が報告されました。

スマホ決済の不正利用の事例(PayPayを使った不正チャージ)|2021年3月

2021年3月18日、警察庁が、スマートフォン決済サービスを利用した不正チャージ事件についての情報を公開しました。事件が発生したのは2020年9月、確認された被害は全国11行で157件、被害額は2760万円に上っています(9月17日午前0時時点)。また、ドコモ口座とPayPayだけでなく、ゆうちょ銀行の口座と連携するメルペイやKyash・LINE Pay・PayPal・支払秘書などでも被害が確認されました。 警察庁はこの事件が悪意のある第3者がどのような手口でサイバー攻撃を行ったのかという内容を発表しましたが、主な手口のポイントは、下記の3つです。
  • 携帯電話販売代理店から不正入手した個人情報を無断で利用し、預貯金口座をスマートフォン決済サービスとひも付けてチャージを実施
  • 第3者の電子メールアカウントを無断利用して、スマートフォン決済サービスのアカウントを作成
  • アカウント作成から被害口座との連携を短期間で大量に行い、買い子が別の端末から連続して決済を実施
 いずれも、Webセキュリティの脆弱性を衝いたサイバー攻撃でした。

ニューノーマルな働き方を狙った事例(RDP総当たり攻撃)|2020~2021年

2020~2021年にかけて急増しているWebセキュリティ問題を衝いたサイバー攻撃が、テレワーク端末を狙った「RDP総当たり攻撃」です。テレワークの導入に取り組んでいる企業で、この攻撃を受けた事例が数多く報告されています。  RDP(Remote Desktop Protocol)とは、導入したサーバに対してクライアント端末からリモートデスクトップ接続する機能を提供するマイクロソフトのサービスのことです。RDPを導入した端末をリモートデスクトップ接続するために利用する「ID/パスワード」に対して、不正アクセスを試みるために総当たり攻撃をしてくる手法を「RDP総当たり攻撃」と呼びます。近年、コロナ禍の影響で、企業によるテレワーク導入が急加速しました。そして、USBモデムやSIM内蔵端末を利用するためにグローバルIPを割り当てた端末が急増したことが、Webセキュリティ問題の増加に繋がったと考えられています。  

さいごに

今回は、2021年度のサイバー攻撃の動向や事件・事故などについて、詳しく解説してきました。また、各事例に対するWebセキュリティ問題についても考察してきました。 Webセキュリティ対策の精度は年々進化していますが、それ以上にサイバー攻撃の手口は巧妙化しています。そのため、2021年上半期以上に、下半期はテレワークなどのニューノーマルな働き方を狙った攻撃、OSやアプリのWebセキュリティの脆弱性を狙った攻撃は激化すると予測されます。また、総務省発布の「平成30年度情報通信白書」によると、政府が積極的にセキュリティ問題に取り組んでいることが明確化されているため「サイバーセキュリティ基本法」の動向にも注目です。 そして何より、今後も引き続き、Webセキュリティ問題に警戒することが重要といえるでしょう。 ...
web_攻撃_動向

2021年上半期Webアプリケーション脅威解析レポート公開

WATTレポート(最新Webアプリケーション脅威解析レポート、Web Application Threat Trend Report)はアジア・パシフィック地域のマーケットシェア1位を誇るWAFの「WAPPLES」とクラウド型WAFサービスの「Cloudbric WAF+」の検知ログをペンタセキュリティシステムズ株式会社とクラウドブリック株式会社が共同分析した結果をまとめたものです。 セキュリティ担当者に向けた最新のWeb脅威情報を提供していますので、ぜひ参考にしてください。  

WATTレポートのダウンロードをご希望の方は、以下のリンクをクリックしてください。

[tek_button button_text="WATT Report ダウンロード" button_link="url:report-download/" button_position="button-center"]

  ...
cloudbric - press release

クラウドブリック、急増するランサムDDoS攻撃に対し、企業を支援するクラウド型DDoS防御対策をご紹介

クラウド&エッジコンピューティングセキュリティ企業のクラウドブリック株式会社(英文社名:Cloudbric Corp. 代表取締役:鄭 泰俊、http://139.162.127.206/jp)は7月15日、急増するランサムDDoS攻撃の危険性を警告し、自社が提供するエッジDDoSプロテクション・サービスである「Cloudbric ADDoS」導入による防御成功事例などを紹介した。 分散型サービス拒否(DDoS)攻撃は、攻撃対象のWebサーバに対して大量のトラフィックを送り付け、過剰な負担をかけることで、使用できなくする悪意ある行為である。Webの基本的な仕組みを悪用する手法であるため対処が極めて難しく、ハッキングの技術に詳しくなくてもインターネット上に公開されているDDoS攻撃ツールなどを利用して比較的簡単に攻撃を仕掛けられる。さらに一定の金額さえ支払えば、大容量の帯域幅を不法に活用できるストレッサー・サービスを利用するケースも多い。 近年では、DDoS攻撃とランサムウェア攻撃を組み合わせた形である「ランサムDDoS攻撃」など、その手法も進化を続けている。ランサムDDoS攻撃とは、脅迫型DDoS攻撃やRDDoSとも呼ばれ、DDoS攻撃の中止と引き換えに身代金を要求する攻撃である。その手口としては、攻撃者がDDoS攻撃で特定のネットワークやWebサービスを意図的に利用できないようにした後、身代金を要求することが一般的で、支払いに応じないと、攻撃を継続すると脅すものが代表的である。攻撃への対処が難しいため仕方なくお金を支払うというケースもあるが、支払いをして攻撃の取りやめが保証されるわけでもない。 「Cloudbric ADDoS(クラウドブリック エー・ディードス)」は、 全世界の50ヵ所以上のFull Stack Edge Networkを活用し、最大65Tbpsのトラフィックまで対応可能な大規模DDoS攻撃専用の対策である。常にトラフィックを監視し、攻撃が検知されると、発信元と最も近いエッジでワークロードを分散処理するため、大規模なDDoS攻撃への迅速な対応​を実現する。各エッジでDDoS脅威に関する最新のインテリジェンスを収集し、分析・配布を行いアルゴリズムの作成及び適用させることで、誤検知を減らし様々なパターンの攻撃にも対応可能となり、Zero-Day(ゼロデイ) DDoS攻撃のような高度な攻撃にも効果的に防御することができる。 クラウドブリック株式会社の代表取締役社長の鄭は、「近年、世界的にランサムDDoS攻撃が増加傾向にあり、その中でも日本における攻撃事例が多く報告されている。ランサムDDoS攻撃の場合、L3/L4レベルの大容量トラフィックを利用した攻撃のみならず、さらに高度化されたコネクションを利用したL7の攻撃が増加しつつあることから、今後格別に注意を払う必要が出て来るのだろう」とし「クラウドブリックはこれまで1000台以上のPCから行われるL7DDoS攻撃を持続的に防御してきたノウハウを活かし、日々大規模化かつ高度化するDDoS攻撃に対し、エッジ技術を活用した最先端のクラウド型セキュリティサービスを日本のお客様に提供していきたい」と述べた。 ...
ゼロデイ(Zero-day)攻撃

ゼロデイ攻撃とは?DDoS攻撃の標的となった際の3つの対処法を解説!

近年、中小企業が悪意のある第3者からサイバー攻撃を受ける事例が増加しています。悪意のある第3者からの攻撃にはさまざまな手口が存在しますが、ゼロデイ攻撃(Zero-day Attack)もその1つです。また、ゼロデイ攻撃だけでなく、DDoS攻撃の標的となる危険性もあるため早めのWebセキュリティ対策を心掛けておかなければなりません。 本記事では、ゼロデイ攻撃を受け、さらにDDoS攻撃の標的された場合のWebセキュリティ対策について解説しています。  

ゼロデイ攻撃とは?DDoSの標的となる可能性も解説!

そもそも、 Webセキュリティ上の脆弱性を衝いたサイバー攻撃の一種であるゼロデイ攻撃(Zero-day Attack)とは、どのようなサイバー攻撃なのでしょうか。詳しくみていきましょう。

ゼロデイ攻撃とは?

悪意のある第3者から受けるサイバー攻撃といえば、導入しているOSやアプリケーションのWebセキュリティ上の脆弱性を狙った攻撃が一般的です。OSやアプリケーションの脆弱性が発見された場合、提供元はすぐにその脆弱性を改善した新バージョンのOSや修正プログラム・パッチを開発し対策を取ります。 しかし、脆弱性が発見されてからすぐに対策を取るのは非常に困難で、その脆弱性解消の対処・対策が確立されるまでには、どうしても期間が必要です。そして、脆弱性の発見から対策方法の確立までの期間のことを「ゼロデイ(Zero-day)」と呼び、その期間を狙って攻撃してくる手法を「ゼロデイ攻撃」と呼んでいます。 ゼロデイ攻撃は、対策ができていないWebセキュリティ上の脆弱性を狙ってくるため、取り得る防御手段が少なく大きな被害を受けるケースも少なくありません。

DDoS攻撃の標的となる可能性は?

ゼロデイ攻撃によって、顧客情報が盗み出されるなどの直接的な被害を受けるだけでなく、間接的な被害を受けてしまう可能性もあります。 間接的な被害とは、DDoS攻撃に利用するゾンビマシンの標的となることを意味します。そもそもDDoS攻撃とは、ターゲットとしている企業サイトやWebサーバに、複数のコンピューターから大量の情報を送り、サービスの遅延・停止を起こさせる攻撃方法を指します。また、ターゲット企業のサービスに影響を与える目的だけでなく、その攻撃を止める条件として金銭(身代金)を要求する目的でDDoS攻撃を仕掛けるケースもあります。 このDDoS攻撃には複数のコンピューターが使用されますが、そのほとんどが悪意のある第3者がこの攻撃のために別のサイバー攻撃で乗っ取った「ゾンビマシン」が使用されています。 ゾンビマシンとは、サイバー攻撃によって侵入したウィルスやプログラムの改ざんによって、悪意のある第3者が遠隔操作できるようにされたコンピューターのことで、このゾンビマシン化されたコンピューターは、Webセキュリティの脆弱性のあるOSやアプリケーションを使っているケースも珍しくありません。そのため、Webセキュリティ対策が未熟なゼロデイを狙って、DDoS攻撃を仕掛けてくる場合があります。 もし、ゾンビマシン化されたコンピューターでDDoS攻撃を仕掛けたターゲット企業が取引先だった場合、それによって取引が中止したり損害賠償を求められる可能性もあります。  

ゼロデイ攻撃の事例

ゼロデイ攻撃によってコンピューターがゾンビマシン化され、DDoS攻撃に使用された可能性のある事例についてみていきましょう。 2014年11月4日、トレンドマイクロが、同社公式ブログでWebセキュリティの脆弱性「Shellshock」を利用した新たな攻撃を確認したことを発表しています。その発表は、Linuxなどで使用されているオープンソースプログラム「Bourne-again shell(Bash)」コマンドシェルに重大な脆弱性が見つかったことが発端で、その対策完了までに、DDoS攻撃などのさまざまなサイバー攻撃が確認されました。例えば、Webセキュリティの脆弱性「Shellshock」を利用してSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)サーバを狙う、ゼロデイ攻撃もその1つです。このケースで被害を受けたコンピューターは、DDoS攻撃の目的で遠隔操作が可能となることもその発表に含まれていました。そのため、サイバー攻撃が確認された地域で、ゾンビマシン化目的でのゼロデイ攻撃を受けたコンピューターが被害に遭った可能性が高いといわれています。実際、日本国内でもゼロデイ攻撃を受けて、遠隔操作されたコンピューターが複数確認されています。  

おすすめ!ゼロデイ攻撃でDDoS攻撃の標的となった場合の対策法3選

ゼロデイ攻撃で、Webセキュリティ対策が完了する前にDDoS攻撃が行われれば、取り得る防御手段の選択肢が少ないのが現状です。しかし、まったく対策法が存在しないということではありません。ここでは、ゼロデイ攻撃でDDoSの標的となった場合の3つの対策法を紹介しています。
  • クラウド型WAF
  • Cloudbric ADDoS
  • EDR

クラウド型WAF|導入しやすく低コスト

WAF(Web Application Firewall)とは、FW(ファイアウォール)やIPS/IDS(不正侵入防止システム/不正侵入検知システム)では守れないWebアプリケーションの脆弱性を攻撃から守ることができるセキュリティ対策です。このWAFには、クラウド型・ハードウェア組み込み型・サーバインストール型の3種類が存在しますが、ゼロデイ攻撃対策として導入するならクラウド型WAFをお勧めします。また、ゼロデイ攻撃対策は、発覚してからすぐに施策する必要があります。 ちなみに、クラウド型WAFは機器の購入・ネットワークの構築などが必要なく、すぐに導入可能でセキュリティ担当者の負担を減らせます。また、初期費用・運用コストが低く、スポット利用もできるため、脆弱性のWebセキュリティ対策が完了するまでのゼロデイ攻撃の対策におすすめです。  

Cloudbric ADDoS|DDoS攻撃対策

DDoS攻撃によるゼロデイ攻撃から被害を最小限に抑えるためには、Webセキュリティ上素早い対応が求められます。そのため、DDoS攻撃が防御できるサービスも、同時に導入しておいた方がよいでしょう。そんなDDoS攻撃対策におすすめのサービスといえば「Cloudbric ADDoS」です。導入しておけば、最大65Tbpsの大規模DDoS攻撃まで迅速かつ安全に遮断してくれます。 「Cloudbric ADDoS」についての詳細は、こちらの記事を参考にしてください。 https://www.cloudbric.jp/blog/2021/06/rddos/  

EDR|ゾンビマシン化をいち早く検知

DDoS攻撃に利用するゾンビマシンの標的となることを、防止できるWebセキュリティ対策も重要なポイントです。 EDRを導入しておけば、ゼロデイ攻撃によってゾンビマシン化している際に、いち早く検知可能であるため、気づかないうちにコンビューターがDDoS攻撃に利用されたり、攻撃の踏み台にされるのを防げます。EDR(Endpoint Detection and Response)とは、パソコンやサーバの状況および通信内容などを監視し、異常あるいは不審な挙動があれば管理者に通知してくれるソリューションです。ゼロデイ攻撃による直接的な被害は防げませんが、導入しておけば、取引先へのDDoS攻撃に利用されて間接的な被害を防止できるためおすすめです。   今回は、ゼロデイ攻撃で、DDoSの標的となった場合のWebセキュリティ対策について解説してきました。ゼロデイ攻撃は気づいたときには手遅れになっているケースも少なくありません。そのため、いち早く気づき、早急にWebセキュリティ対策することが重要です。 現代では、悪意のある第3者によるゼロ攻撃やDDoS攻撃は増加傾向にあるため、いつサイバー被害を受けるか予測できません。本記事を参考に、いち早くWebセキュリティ対策に取り組みましょう。 ...
DDoS攻撃対策

実際に国内で発生したDDoS攻撃の被害と対策を紹介

Webサイトなどネットワークを利用したサービスの脅威となるのがDDoS攻撃です。DDoS攻撃を受けるとWebサイトなどのサービスが一時的に停止してしまい、サービスを利用しているユーザーの信頼を失うだけでなく企業イメージにも悪い影響を与えることもあります。 今回は日本国内で発生したDDoS攻撃の事例や対策方法について紹介していきます。   DDoS攻撃とは DDoS攻撃の説明をする前にまずDoS攻撃につい ...

中堅・中小企業のWebセキュリティ対策

中堅・中小企業のWebセキュリティ対策は何から取り組むべき?

インターネットの普及を背景に、悪意のある第3者からのサイバー攻撃に備えて、Webセキュリティ対策をしておく必要があります。もちろん、大企業だけでなく、中堅・中小企業も同様に、Webセキュリティ対策は意識しておかなければなりません。そもそも、悪意のある第3者からの攻撃を受けているのは大企業だけではなく、近年は中堅・中小企業が被害に遭う割合が増加傾向にあります。しかし、そんな中堅・中小企業のWebセ ...