Webアプリケーションセキュリティ

2021年 企業が注目すべきWebアプリケーション・セキュリティ・トレンド  その2

ベライゾン(Verizon)の2020 DBIR Reportによると、昨今のデータ侵害の約5割がWebアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃によって発生すると報告されています。Webアプリケーションに対する攻撃は益々増加し、関連規制も強化しつつあります。このような状況で企業が顧客の信頼を失わずにビジネスの持続性を保っていくためには、Webアプリケーション・セキュリティに対する最新情報を踏まえ、セキュリティ対策を強固にする必要があります。前回にご紹介した5つのセキュリティ・トレンドに続いて、今回も企業の信頼性とビジネス継続性を守れる最新のWebアプリケーション・セキュリティ・トレンドをまとめてお伝えします。  

1. 個人情報保護強化

データ侵害による個人情報漏えいや個人情報不正利用など個人情報と関わるセキュリティ事故と被害が急増し、個人情報保護の重要性は年々高まっている現状です。 東京京商工リサーチによると2020年日本国内における個人情報漏えい被害の件数はおよそ2515万件に達するといいます。 また、外部からのサイバー攻撃による個人情報漏えいや不正利用等の他にも、企業が顧客の情報を無断収集・配布する行為によって顧客の個人情報が侵害された場合もあります。例を挙げると、2019年就職情報サイト「リクナビ」が、学生への説明が不十分なまま「内定辞退率」を企業に有償提供していた事件が代表的です。 被害拡大と共に個人情報保護法の改正により企業の個人情報収集・使用などに関する規制も強化され、2020年6月改正個人情報保護法は個人データを利用する企業の責任を重くした内容となっています。 顧客の個人情報侵害による信頼性の低下は長期的な観点からみると企業のビジネスに悪影響を与える可能性が高いです。したがって企業は顧客の信頼を失わないために個人情報と関わる規制に厳重に準拠するなど、個人情報保護に関するあらゆるイシューをWebアプリケーション・セキュリティに反映する必要があります。  

2. ビルトインセキュリティbuilt-in security

ソフトウェア、サービスなどITシステムの企画·開発·運営のライフサイクルの全段階でセキュリティをビルトインすることの重要性が高まっています。 ビルトインセキュリティのメリットは、セキュリティを内蔵することを前提にソフトウェアやサービスを設計・開発する過程で、開発者が脆弱性を早期に識別し、対策を立てることが可能であることです。何よりもセキュリティ事故を未然に防ぐ事前対策を備えられることから、Webアプリケーション・セキュリティのトレンドとして注目されています。  

3. アプリケーション・モニタリング Application Monitoring

アプリケーション・モニタリングは多様化しながら急増するサイバー攻撃を早期に発見し、被害拡大を抑えるために必需的に実装すべきのセキュリティ・ソリューションとして注目されています。 広くなるIT環境の中、いつどこから攻撃してくるか把握しきれないサイバー攻撃を人が直接毎分毎秒監視することはかなり時間と手数がかかる作業になります。そのためWebアプリケーションをリアルタイムでモニタリングする機能を企業システム内に搭載し、24時間サイバー攻撃を警戒・監視することが重要なセキュリティ・トレンドになっています。
  • アプリケーション・モニタリングによるメリット
  • 様々なソースからデータを収集
  • Webアプリケーションから脅威を検知・対応
  • 検知及び対応機能の拡張は脅威検知機能の正確さを向上
  • エンドユーザに影響する前にエラーを把握・処理
上記のようなメリットによってアプリケーションのセキュリティ性能と効率性が高まり、顧客の満足度まで確保できます。  

4. Web攻撃の変化

Webアプリケーション・セキュリティの全般的な向上によってサイバー攻撃者も更なる進化を重ねて、Webアプリケーションを攻撃するための新しい手口を模索しています。そのため安全なWebアプリケーション・セキュリティ実現をためには、Web攻撃動向の変化を注意深く分析し、最も危険度高い攻撃を把握することを通じて、根本的な解決に繋げる対策に取り組むことが重要です。 ペンタセキュリティがリリースしたWebアプリケーション脅威分析レポート「WATTレポート」によると、2020年上半期Web攻撃Top5は次のようになっております。
  1. Extension Filtering(32.71%)
  2. Request Header Filtering(16.73%)
  3. SQL Injection(15.21%)
  4. Error Handling(7.46%)
  5. URL Access Control(5.71%)
Request Header Filteringの場合、2018年6.27%だった発生率は2020年上半期に16.73%まで上がり、その頻度が極めて増加したことが分かりました。また、Extension FilteringやSQL Injectionの場合、毎年のように発生していますが、URL Access Controlは2020年に新しくTop5に登場したWeb攻撃であります。このようなWeb攻撃動向の変化が2021年にも起こらないとは断言できませんので、一般的に知られているWeb攻撃への対策はもちろん、知られていない新しいWeb攻撃の登場を常に警戒する必要があります。  

5. 2要素認証 Two-Factor Authentication

2要素認証とは、1つの要素だけで認証していた過程にもう1つの要素を加えてセキュリティの強化を図る手法のことです。例えば、一般的なIDとパスワードのような認証は「ID+パスワード」という1つだけの要素で認証を行います。それに対し2要素認証は、ユーザが知っているもの(パスワード、暗証番号、秘密の質問への回答など)、ユーザが持っているもの(トークン、携帯電話、USBなど)、ユーザの身体的な要素(顔または音声認識、指紋など)、この3つの認証要素のうち2つを組み合わせた認証プロセスです。 2要素認証は他人の個人情報と権限を奪取して企業のシステムに潜入したり、不正利用したりするサイバー攻撃が増えていることから企業のビジネスを守るセキュリティ・トレンドとして注目されています。 実際、2020年「ドコモ口座不正」事件の根本的な原因は本人確認の甘さでありました。ドコモ口座の開設に厳格な本人確認はなく、ドコモメールアドレスを用意するだけで登録が済んでしまいます。この単純な本人確認の過程によって、犯人は何らかの方法で預金者の名義や口座番号などを盗み出し、名義人に成り済ましてドコモ口座を開くことが可能であったため、不正引き出しの被害が発生したと分析できます。 このような被害に遭わないために2要素認証を導入して本人かどうかを徹底的に確認する厳重な本人確認が企業のWebアプリケーションに必需的なものとなっています。  

さいごに

信頼できない企業にビジネス継続性があるとは言えません。なら、信頼できる企業になるっためには何が必要でしょうか?信頼を守る最も基本的な方法は、サイバー脅威からビジネスに関する情報はもちろん、顧客の情報まできちんと保護することです。 特にWebアプリケーションはコロナ禍につれ非対面生活が持続している今、更に注目すべきのセキュリティ領域であります。Webアプリケーションを基づいて行われる非対面活動が増加しており、サイバー攻撃者は急速に利用度が高まって成長しつつあるWebアプリケーションでユーザは見え切れなかったセキュリティの四角を見抜くためにその目を光らせているからです。 したがって、変化の流れを止めないIT環境でWebアプリケーションセキュリティを発展させるために、企業は昨今のIT環境で狙われやすい脆弱性、セキュリティ脅威の動向、最新セキュリティソリューションなどを把握し、これらをセキュリティ対策を立てる意思決定に反映する必要があります。 ...
IT&MARKETING2021

1月27日~29日 「IT&MARKETING EXPO 2021」出展のお知らせ

この度、当社は2021年1月27日(水)~29日(金)まで開催される日本最大級のオンライン展示会「IT&MARKETING EXPO 2021春」に出展し、クラウド型WAFを含むセキュリティ・サービス・プラットフォーム「クラウドブリック(Cloudbric)」をご紹介致します。 オンラインブースでは、弊社サービスに関するご質問やご相談などをオンライン通話にて対応致します。 また、1月28(木)には、弊社代表取締役社長の陣 貞喜が登壇し、「企業のビジネスを守るWebセキュリティの極秘、一石五鳥クラウド型セキュリティプラットフォームサービス 」をテーマにセールスピーチを配信致しますので、ご興味のあり方はぜひお立ち寄りください。
【イベント開催概要】
◆日時:2021年1月27日(水)~29日(金) 10:00〜19:00まで ◆入場料:無料 ◆イベント情報:https://weblp.cloud-webexpo.com/visitor/marketing_expo2021 ◆無料会員登録:https://weblp.cloud-webexpo.com/visitor/marketing_expo2021/register
【セールスピーチの予定】
◆テーマ:企業のビジネスを守るWebセキュリティの極秘、一石五鳥クラウド型セキュリティプラットフォームサービス ◆日頃:1月28日(木)16:00に配信予定 ...
Webアプリケーションセキュリティ

2021年 企業が注目すべきWebアプリケーション・セキュリティ・トレンド  その1

サイバー攻撃者の主な標的になっているWebアプリケーションエリアは企業の核心情報に近接しています。そのため徹底したセキュルティ対策を立てることが何よりも重要です。急激に変化しつつある昨今のIT環境において、「果たしてどのようなセキュリティ対策をとるべきなのか」という問題を解くことはそう簡単ではありません。しかし企業はキュリティトレンドへ常に注目し、あらゆるサイバー攻撃に対抗できる対策について考え続ける必要があります。 そこで今回は、2021年企業が注目すべきWebアプリケーションセキュリティトレンドを2回にわたって説明したいと思います。  

1. マシンラーニング・AI

医療・金融・製造等、様々な産業で使われているマシンラーニングとAI技術がもはやセキュリティ分野にも積極的に活用されており、この傾向は2021年以降にも堅調な推移が見込まれます。現在、セキュリティ分野ではAIが人の代わりに悪性コードの判明・分析を行い、誤検知率を低減させ、管理者の管理負担を軽減させる役割を果たしています。 2021年には以下の目標を目指して取り組みを続けていくと思われます。今後もAI・マシンラーニングによるセキュリティパフォーマンスは益々向上すると推測できるでしょう。
  • セキュリティ脅威検知技術の柔軟性向上
  • Webアプリケーションでの作業をモニタリングし、不正プログラムを検知
  • データの処理及び分析機能の向上
  • Webアプリケーションに発生できる脅威を予測
一方、これらの技術はセキュリティ分野だけでなく、サイバー攻撃を行う側にも利用されています。企業はIT技術の進歩がサイバー攻撃者に逆手に取られる可能性にも常に警戒し、対応策を講じておく必要があります。  

2. クラウドコンピューティング・サーバレース環境

クラウドへ移行する企業と組織が多くなっている現在、急速に進むクラウドシフトと共にサーバレース環境も成長し続けています。 サーバレース環境とは、サーバの構築やメンテナンスの必要なく、アプリケーション機能を開発、実行、管理できるクラウドコンピューティングモデルの1つです。体表的にはFaaS (Function as a Service) があります。

サーバレース環境の導入におけるメリット

  • サーバー管理はサーバレスプロバイダーがすべてやってくれる
  • サーバー導入や管理などが一切不要になるため、開発の際プログラムを書く作業に集中できる
  • 使用時間と容量に合わせて費用が発生するため、費用対効果が高い
しかし、サーバレス環境ではさまざまなイベントソース(HTTP API、クラウドストレージ、IoTのデバイス間通信など)によって攻撃範囲が拡張されます。また、サーバレスは新規プラットフォームであるため、現在サーバレースを標的とした攻撃パターン等の情報は少ない状況です。企業はWebアプリケーションが見知らぬ脅威に遭わないために新しい技術導入にも注意を深める必要があります。  

3. API統合

API(Application Programming Interface、アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)は、異なるアプリケーション間の相互作用を可能にするために標準化されたツール、定義、プロトコルを意味します。このAPIを統合するということは、「2つ以上のアプリケーションがAPIを通じて互いにデータを交換できるようにする結び付き」だといえます。 このAPI統合によるメリットを簡単にご紹介すると以下の通りです。
  • ビジネスサービスの速度や生産性が向上
  • ユーザとパートナーにAPIを提供することによって、関連データが円滑に共有され顧客の満足度を向上
それぞれのアプリケーションがすべてつながるIT環境において、API統合の重要性は更に高まるはずです。しかし、API統合によって共用・個人ネットワークまたはクラウドネットワーク上でAPIが露出される可能性も高くなっており、これがサイバー攻撃者にとっては新たな機会になるかもしれません。 安全が保証できないAPIエンドポイントが深刻なデータ侵害のきっかけになりうることに注意を深める必要があります。  

4. 企業のデータサイエンス

データサイエンスとはデータの中で有意義な情報と知識を探索・解析し、データの新たな価値を発見する学問分野のことです。データに基づいた合理的な意思決定を助けるデータサイエンスは、企業の経営活動に欠かせない学問分野となっています。セキュリティ分野においても、数えきれないIT環境の情報を収集·分析してこそ、より安全で徹底したセキュリティ対策を立てられるため、データサイエンスの重要度は高くなっております。 なお、データサイエンスがWebアプリケーションのセキュリティに提供するメリットは次の通りです。
  • セキュリティ脅威検知機能向上
  • 膨大なデータを分析し、攻撃者の行動を分析
  • データ保護(データサイエンスがマシンラーニングと結合する場合)
データサイエンスを踏まえた意思決定により、企業はサイバー攻撃を予測し、重要情報を守るセキュリティを実現できます。  

5. 浸透テスト

企業は浸透テストを通じて「攻撃者の手口」や「攻撃者に狙われやすいセキュリティ脆弱性」を調べられます。浸透テストとは、ホワイトハッカーを通じて、実際の攻撃行為のシミュレーションを行うことです。浸透テストは情報セキュリティレベルを能動的に評価できる次のような情報を提供するため、Webアプリケーションのセキュリティのトレンドとなっています。

浸透テストが提供する情報

  • アプリケーションの脆弱性
  • アクセスされた重要データ
  • テスターがシステム内で検知されなかった時間
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という諺のように、ハッカーが侵入した状況を意図的につくって、そこから攻撃者の手口や保護対象のセキュルティ脆弱性、敏感なデータなどを識別したら、実際の攻撃にも対応できるセキュアな環境を構成することができるでしょう。  

さいごに

企業は、サイバー攻撃者の手口を用いる浸透テストや有意義な情報を収集・分析するデータサイエンスに基づいて先制的防御システムを構築できます。しかし、クラウド、サーバレス環境やAPI などのビズネス活動の利便性を増進させる技術が、サイバー攻撃に利用される場合もあることに警戒する必要があります。また、セキュリティ強化に使われるAI•マシンラーニングなどのIT技術が、サイバー攻撃者にとっても攻撃を高度化させる材料として使われる可能性も考えておくべきです。 次回のWebアプリケーションのセキュリティトレンドでも、注目すべきのセキュリティトレンドをご紹介いたしますので、一読をお願いいたします。 ...
cloudbric blog post

【2021年】クラウドブリック Webセミナー開催のご案内

2021年クラウドブリック(Cloudbric)定期Webセミナーを開催いたします。 本セミナーは、新規機能の使い方、仕様変更時のご案内、セキュリティトレンド情報、導入事例のご紹介などCloudbricをご利用頂く中で有効な情報をお届けいたします。 ■場所:オンライン(※Zoomウェビナーにてライブ配信で行われます。) ■参加料:無料 ■お申込み:こちらをクリックしてください。
■日時・セミナー概要
日時 テーマ 内容 対象
1月 Cloudbricセキュリティ・プラットフォームのご紹介 セキュリティ・プラットフォーム・サービスに進化したCloudbricについて、新規機能や注目ポイントなどをご紹介致します。 パートナー様 /エンドユーザー様
2月 サービスポリシーのご案内【トラフィック超過時の対応プロセス】 サービスご利用中、トラフィックがご契約プランのピーク時のトラフィックを超過した場合の対応についてご案内致します。 パートナー様
3月 Cloudbricが選ばれている理由とは 日本国内の競合他社について、機能・サービス・価格面での比較をし、営業時のポイントをご説明致します。 パートナー様
4月 Cloudbric活用法【パートナー専用管理サイト】Advanced サービス利用開始後のアカウント作成からセキュリティサービス運用開始までのプロセスにおいて、パートナー様の対応について詳しくご案内致します。 パートナー様
5月 サービスポリシーのご案内【価格ポリシー】 Cloudbricの価格ポリシーについて、追加費用を中心にご案内いたします。 パートナー様
6月 導入実績・導入事例のご紹介【2021年上半期】 Cloudbricの2021年上半期の導入実績および導入事例についてご紹介いたします。 パートナー様 /エンドユーザー様
7月 新規機能追加のご案内 新規機能について、概要・利用効果・設定方法などをご案内致します。 パートナー様 /エンドユーザー様
8月 よくあるご質問【営業面】 営業時に、Cloudbricの導入を検討されるお客様からよくご質問を頂いている内容についてご紹介致します。 パートナー様
9月 新規機能追加のご案内 新規機能について、概要・利用効果・設定方法などをご案内致します。 パートナー様 /エンドユーザー様
10月 よくあるご質問【サービス運用面】 サービスご利用中に、エンドユーザ様およびパートナー様からよくご質問を頂いている内容についてご紹介致します。 パートナー様
11月 新規機能追加のご案内 新規機能について、概要・利用効果・設定方法などをご案内致します。 パートナー様 /エンドユーザー様
12月 今年のCloudbric 2021年の新規機能、仕様変更など、今年のCloudbricにあった変化についてご案内致します。 パートナー様 /エンドユーザー様
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フィッシング

日本がフィッシング攻撃のグローバルターゲットに!その現状に対して緊急レポート

フィッシング対策協議会の報告によると、2020年12月のフィッシングは1,204 件増加し、過去最多となる32,171 件となりました。これは前月11月にはじめて3万件の大台を突破した3万967件からさらに1204件の増加となります。前年よりこちらでも度々警告してきたフィッシング詐欺の増加ですが、増加の一途をたどっています。しかもグローバルで11月に観測された攻撃キャンペーンの上位10件はいずれも日本を標的とするフィッシング攻撃です。それらはAmazon、楽天、三井住友カードの利用者をターゲットにし、中でもAmazonは1日あたり数十万件単位で送信されており、100万件を超える日も確認されています。今日本がフィッシング攻撃の標的にロックオンされているのは間違いなく、今回はその現状に警鐘を鳴らすと共に、企業がとり得る対策についてもお届けしたいと思います。

引用:フィッシング対策協議会

 

フィッシング攻撃とは

フィッシング(phishing)とは、インターネットのユーザから経済的価値がある情報を奪うために行われる詐欺行為です。第三者がユーザをだましてオンラインから個人情報を入手しようと試みます。フィッシング サイトが要求する情報には次のようなものがあります。
  •  ユーザ名とパスワード
  • 社会保障番号
  • 銀行口座番号
  • PIN(暗証番号)
  • クレジット カード番号
  • 母親の旧姓
  • あなたの誕生日
金融機関や有名企業を装った電子メールに、「アカウント更新のため」などとして電子メール内に書かれているURLをクリックさせ、表示された偽のWebサイトに口座番号などのID、パスワードなどを入力させ、個人情報を取得するというものです。偽のWebサイトとはいえ、見た目はそっくりに作られているため、それが偽のWebサイトであるということに気づくのは困難です。  

フィッシングの種類

スピアフィッシング

スピアフィッシングは、単純ですが危険性の高い、Eメール経由の標的型攻撃です。一見何の変哲もないメールの 本文にリンクが記載されていたり、ファイルが添付されていたりします。他のフィッシングとの違いは、普通のフィッシングは範囲や標的を絞らずに行うのに対し、スピアフィッシングは特定の企業の特定の人物や社員を標的にする点です。標的を絞り込むため精度が高まり、通常のフィッシングよりも悪質で危険度が高いと言われています。サイバー犯罪者は標的に関する情報を慎重に収集し、標的を引き付ける「餌」を用意します。うまく作られたスピアフィッシングメールは本物とほぼ見分けがつかないため、相手をより簡単に釣り上げられるのです。不特定多数に送り付けるスパムメールならメールを開く人も3%程度なのが、狙いを定めたスピアフィッシングでは、70%ものメールが開かれてしまうと言う統計もあります。 攻撃者は、基本的に実用的で小さなプログラム、Microsoft WordのマクロやJavaScriptコードを使って文書を攻撃の手段に変え、一般的なファイルに埋め込みます。その唯一の目的は、さらに有害なマルウェアを標的のコンピューターにダウンロードすることです。コンピューターに感染したマルウェアは、標的のネットワーク全体に拡散することもあれば、集められるだけの情報を集めまくることもあります。このようにして、マルウェア作成者は目的の情報を探し出します。こうした高度に入念に準備して行うスピアフィッシングでは、大企業の幹部、金融機関の職員等影響力のある人物に狙いを定めます。 スピアフィッシングのメールの大半は、ITの監督権限のある方、あるいはネットワークドメインのアドミニストレータを標的に送られます。ここを攻略すれば社内ネットワークにマルウェアを広げることができるからです。 スピアフィッシングの中でも、特に大きな獲物、すなわち最高経営責任者(CEO)などの経営幹部を狙うフィッシングのことを、ホエーリング(whaling)やホエールフィッシング(whale phishing)と呼びます。社外の取締役等はその会社の社員ではないことから、業務関連の連絡に個人用のメールアドレスを使っている場合も多く、ホエールフィッシングの標的に狙われやすいという指摘もあります。 新型コロナウイルスの感染拡大に便乗した、中国、北朝鮮、ロシアの攻撃グループによる複数のスピアフィッシング攻撃等も報告されています。

ラテラルフィッシングメール

ラテラルとは横方向を意味し、サイバー攻撃により内部ネットワークに不正侵入後、横方向への感染を拡大する行為を「ラテラルムーブメント」と呼びます。ラテラルフィッシングは、攻撃者が組織内のメールアカウントを何らかの手法で乗っ取り、その組織の正規アカウント(ドメイン)から、取引先等なんらかの横つながりにある企業に対し、フィッシングメールを送るものです。正規の内部アカウントからのメールなので、現在の攻撃検知の想定外のため、一般に検知が困難です。フィッシングが浸透してから、「偽ドメインからのメール」へ警戒を強める従業員も多くなりました。有名企業を騙るメール名でも、ドメインが異なれば不用意に開かいのは最早常識となりました。しかし、ラテラルフィッシングは、「正規ドメイン」からフィッシングメールが送付されて来るので、この常識が通用しません。

インターネットバンキングの被害にも

インターネットバンキングの口座に不正アクセスされ、知らない間に預金が詐欺グループに送金されるケースがあります。フィッシング詐欺では、実際に存在する銀行やクレジットカード会社、ショッピングサイト、SNSなどを装った偽のメールやショートメッセージ(SMS)が送付され、本物のログインページを精巧に模した「偽のログインページ」に誘導されます。この偽のログインページで入力してしまったアカウント情報などは、悪意のある第3者に送信されます。この不正に盗まれた情報は、不正送金などのために悪用される恐れがあります。そしてIDやパスワードなどの情報を入力させて盗み取り、口座から預金を不正に引き出すのが典型的なものです。実際に送付されてくるメールでは、「システムトラブル」や「セキュリティ対策のため」などを装い、偽のログインページにアカウント情報を入力させるように巧みに誘導する文面になっています。フィッシングで偽サイトに誘導されている場合は、URLなどを確認することで、正規のサイトであるかどうか確認することが可能です。  

企業に影響のあるフィッシング被害

なりすまし被害

自社がフィッシングのなりすましにあうケースが想定されます。例えばECサイトの場合、対象サイトは売上減だけではなく、サイトの信頼回復に時間がかかるとの報告もあります。一見しただけではニセモノと見分けがつかないサイトが多いこと、またネットショップ側になりすましたメールでフィッシングサイトへ誘導されることもあります。 そこで企業としては入手したいのが『SSLサーバー証明書』です。SSLサーバー証明書は『https://』で始まるサイトの暗号化だけでなく、第三者のなりすましによる偽サイトを防ぐためにも役に立ちます。 ただし、SSLサーバー証明書にはランクがあり、中には信頼できない機関によって発行されるものも存在するため注意が必要です。 最上位の証明であるEV(Extended Validation)SSL証明書であれば、認証基準に基づいた実在確認をするため、非常に高い信頼性が期待できます。

Webページが改ざん被害

またSQLインジェクションではWebページが改ざんされ、フィッシングサイトへ訪問者を誘導されることもあります。あるいは、SQLインジェクションを利用してサーバー上のファイルを書き換えることでWebページを改ざんされることもあります。この場合、訪問者をフィッシングサイトに誘導したり、ウィルスに感染させたりといった被害が予想されます。 他にもロスサイトスクリプティング(Cross Site Scripting、XSS)によってお問い合わせフォームに悪意のあるスクリプト(JavaScriptなど)を入力して、ホームページを改ざんする攻撃も存在します。埋め込んだスクリプトを利用して、訪問者のcookie(クッキー)情報を盗み取り、各種サービスのログインID・パスワードを盗みとります。 このようなケースの場合、実際は自社が被害者であるにもかかわらず、加害者として扱われてしまうことになります。クロスサイトスクリプティングによる情報流出が発生すると、甚大なクレームが発生し、会社の社会的な信頼も失われてしまいます。  

さいごに

SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングといったWebアプリケーションの脆弱性を防御するには、防ぐ有効な手段としてWAFが注目されています。WAFの大きなメリットは、ホームページに予期していない脆弱性が潜んでいたとしても、攻撃パターンを読み取ってアタックを未然に防いでくれる点です。また、脆弱性を修正されるまでのタイムラグにゼロデイ攻撃を受けつづけるリスクも減少します。WAFを導入することで、ホームページのセキュリティが格段に向上します。 Webサイトがフィッシングサイトへの踏み台として利用されることは大変な信用失墜につながります 。特に、ECサイトなど、顧客情報や機密データを取り扱う企業にとっては、一度失われた信頼を回復には莫大な時間と費用がかかりますので、事前に脅威を防ぐための防御態勢を整える必要があります。 クラウド型WAFであるクラウドブリック(Cloudbric)はPCI-DSSに準拠したエンタープライズ向けWAFサービスを提供します。クラウドブリックを導入することで、企業はハッカーの不正な動きを事前に発見し遮断することができるため、顧客情報を安全に守れます。 https://www.cloudbric.jp/cloudbric-waf/ ...
テレワーク脅威

2021年セキュリティ脅威予測 : テレワーク環境がサイバー攻撃の弱点に!

トレンドマイクロは12月22日、脅威動向を予測したレポート「2021年セキュリティ脅威予測」を公開しました。その中で自宅のテレワーク環境がサイバー攻撃の弱点になりうると警鐘をならしています。2020年、多くの企業は新型コロナウイルス(Covid-19)のパンデミックに対応するため、業務機能、クラウドマイグレーション、テレワークのサポート等、さまざまな側面から運用とセキュリティのプロセスを見直す必要に迫られました。こうした状況の中、これまでのセキュリティリスクに加え、2020年に企業が直面した課題だけでなく、今後も続くであろう混乱に対する備えについても懸念が高まっています。テレワークの実施が恒常化したいま、テレワーク環境を狙ったサイバー攻撃が急増しています。手口が高度化・巧妙化する脅威の侵入を完全に防ぎ切ることは、もはや難しいとみられます。これからは、テレワーク環境で使われるエンドポイントからの侵入を前提にしたセキュリティ対策が必要になってくるでしょう。そんな中どのようなセキュリティ対策が効果的なのか、今回は紐解いていきたいと思います。  

テレワーク環境がサイバー攻撃の弱点になっている

テレワークが当たり前になった現在、社員の自宅は、今後も引き続きオフィスとして利用される可能性があります。これにより、多くの社員が自宅からデバイス(私的なデバイスを含む)を使用して社内ネットワークの機密情報にアクセスする状況となり、こうした業務体制があらゆる企業にとって深刻なリスクとなります。このような状況においては、安全なアクセスを維持し、攻撃経路を阻止できる強固なセキュリティツールを導入しない限り、攻撃者は、容易に社内ネットワークへ侵入し、利用可能なターゲットを見つけるために端末へと移動を続けることになります。

1.自宅のテレワーク環境がサイバー攻撃の弱点に

今後、サイバー攻撃者が脆弱なホームネットワークから従業員の自宅のコンピュータを乗っ取って、組織ネットワークへ侵入することが顕著になることが予想されます。サイバー攻撃者にとって、自宅のルーターは格好の標的となります。侵入済みのルーターへのアクセス権をアンダーグラウンド市場で販売する傾向が見られるでしょう。加えて、企業の経営幹部やIT管理者のテレワーク環境など、サイバー攻撃者にとって価値の高いホームネットワークへのアクセス権を提供するアンダーグラウンドのサービスは需要が高くなるとみられています。 また、VPNシステムの脆弱性による侵入やアンダーグラウンド市場で脆弱性が適用されていないシステムのリストが確認されており、多くの組織にとって今後はVPNの脆弱性に一層注意する必要があります。

2.新型コロナウイルスに便乗した脅威の継続と医療機関を狙ったサイバー攻撃の深刻化

サイバー犯罪者は、新型コロナウイルスに対する人々の不安に便乗し、サイバー攻撃をおこなっており、この傾向は2021年も継続するとみられます。2021年は新型コロナウイルスに対するワクチンの開発や治験、提供が進むことで、ワクチン開発関連組織へのサイバー偵察・情報窃取が行われることが懸念されています。

3.修正プログラム適用までの空白期間を狙う「Nデイ脆弱性」の悪用が横行

2021年はベンダーにより修正プログラムが提供されている既知の脆弱性「Nデイ脆弱性」が重大な懸念を引き起こすとみられています。デイ脆弱性は、該当のソフトウェアやシステム開発企業から公開開示文書などが公開されており、悪用できる方法を探しているサイバー攻撃者にとって、悪用できる脆弱性の特定が容易です。加えて、2020年はVPNの脆弱性を狙う攻撃を多く確認したほか、複数の攻撃キャンペーンでも既知の脆弱性が多数悪用されていたことを確認しています。  

テレワークを行う際のセキュリティ上の注意事項

世界中が新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの災禍に見舞われるなか、不安につけ込んだサイバー攻撃が次々に見つかってます。複数のセキュリティ調査機関によると、コロナウイルス関連情報に見せかけたファイルやドメインを使用するサイバー攻撃、パンデミックを悪用して利益を得ようとするランサムウェアなども確認されています。とくに感染拡大被害が大きい地域、過酷な勤務によって疲弊する医療機関をターゲットにした脅威がめだって増えており、攻撃者の卑劣さが改めてうかがえます。2021年のサイバー攻撃の脅威としては、テレワークが鍵になっていることが各種レポートから伺えます。例えばIPA(情報処理推進機構)ではテレワークを行う際のセキュリティ上の注意事項として以下のような注意点をあげています。

所属する組織や企業からテレワーク環境が提供されている場合

  1. テレワーク勤務者の方は、お使いのテレワーク環境に関して所属先が定めた規程やルールをよく理解し、それに従ってください。
  2. 不明な点等がある場合は自分で判断せず、まずは所属先のシステム管理者等に相談をしてください。
  3. 規程やルールとあわせて、お使いのパソコン等に対して<日常における情報セキュリティ対策>を実施してください。

所属する組織や企業からテレワーク環境が提供されていない場合

  1. 本格的なテレワーク環境が提供されておらず、自宅のパソコン等で業務に関わるメールの送受信や資料作成等を行う場合には、自身によるセキュリティ対策を強く意識する必要があります。自分はITにそれほど詳しくない、相談できるシステム管理者がいない、等の状況にある方は、普段使っている個人の環境のセキュリティ対策を見直すことから始めてください。
  2. そのために、以下の<日常における情報セキュリティ対策>を確認し実施してください。
  • 修正プログラムの適用
  • セキュリティソフトの導入および定義ファイルの最新化
  • パスワードの適切な設定と管理
  • 不審なメールに注意
  • USBメモリ等の取り扱いの注意
  • 社内ネットワークへの機器接続ルールの遵守
  • ソフトウェアをインストールする際の注意
  • パソコン等の画面ロック機能の設定

テレワーク時に特に気をつけるべき注意事項

  1. テレワークで使用するパソコン等は、できる限り他人と共有して使わないようにしてください。共有で使わざるを得ない場合は、業務用のユーザーアカウントを別途作成してください。
  2. ウェブ会議のサービス等を新たに使い始める際は、事前にそのサービス等の初期設定の内容を確認してください。特にセキュリティ機能は積極的に活用してください。
  3. 自宅のルータは、メーカーのサイトを確認のうえ、最新のファームウェアを適用、ソフトウェア更新してください。

公共の場で行う場合

  1. カフェ等の公共の場所でパソコン等を使用するときはパソコンの画面をのぞかれないように注意してください。
  2. 公共の場所でウェブ会議を行う場合は、話し声が他の人に聞こえないように注意してください。
  3. 公衆Wi-Fiを利用する場合は、パソコンのファイル共有機能をオフにしてください。
  4. 公衆Wi-Fiを利用する場合は、必要に応じて信頼できるVPNサービスを利用してください。
  5. デジタルデータ/ファイルだけではなく、紙の書類等の管理にも注意してください。
 

さいごに

働き方改革が推進される中で流行した新型コロナウイルスの影響で「テレワーク」が急増しています。セキュリティガイドラインの策定をはじめ、実践的なセキュリティルール・情報管理ルールの策定が企業には求められています。今回まとめたように、従業員がテレワーク時にとるべき行動をルール化し、ガイドラインとルールを遵守できる環境作りが大切になってきます。 情報セキュリティの重要性について理解してもらい、従業員一人ひとりに浸透させていくことが欠かせません。 特にテレワーク勤務者は、オフィスから目の届きにくい場所で作業をすることとなります。そのためにも、ルールの趣旨や、ルールを遵守することの重要性を自覚してもらうことが大切です。 ...
DDoS攻撃

2020年、主要DDoS攻撃事件まとめ

この1年を振り返ってみると2020年はコロナ一色でした。コロナ禍でオフラインでの活動が制限され、その分デジタルシフトが一気に進みました。様々なサイバーセキュリティ事件も発生しつつありますが、特に今回はDDoS攻撃に注目してみたいと思います。カルペルスキーの調査によると、2020年DDoS攻撃量が2019年に比べ3倍に増加しています。日本では不正アクセスの被害に比べ、DDoS攻撃への注目度は比較的に低いようですが、「DDoS攻撃の地理的分布」をみると、日本は初めて9位(0.18%)にランクインしていることが分かります。それでDDoS攻撃に対してより一層厳しい注意が求められます。今回は世界各地から発生した2020年第3四分期までの主要DDoS攻撃事件をまとめてみました。  

分期別DDoS攻撃事件

第1四分期

1月:ギリシアでは政治的な動機で行われたサイバー攻撃が観測されました。政府機関及び応急サービスのWebサイトを狙った2回のDDoS攻撃の試みで首相、警察、消防署のWebサイトが一時停止されました。1回目の場合、トルコのハッカー組織「Anka Neferler Tim」が犯人であることが明らかになりましたが、2回目の犯人はまだ見つかっていません。 3月 : 3月中旬、新型コロナウイルス感染拡大への対応で重要な役割を担う米保健福祉省(HHS) のWebサイトからDDoS攻撃の試みが検知されました 。この攻撃はデータの窃取などを目的としたものではなく、新型コロナウイルスにおける対応への妨害が目的とみられます。 ドイツとホランダのフードデリバリーサービス会社のLieferandoとThuisbezorgdは DDoS攻撃によるシステム障害で、顧客の注文をまともに処理できなかったため、全額返金するといった事件が発生しました。Lieferando社の場合、DDoS攻撃の停止と引き換えに2BTC ($ 13,000 USD以上) を要求されました。

第2四分期

5月:5月には特に米国の人権団体を狙ったDDoS攻撃が急増し、1ヶ月で約1,120件の攻撃が報告されました。これらの攻撃は米ミネソタ州のミネアポリスでアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイドが警察の不適切な対応で死亡した事件への抗議デモを妨害させる目的でした。抗議デモが広がるにつれてミネアポリス市警への不満も寄せられ、市警のWebサイトを狙ったDDoS攻撃も発生しました。犯人はハクティビズム(政治的主張を基づきハッキング行為を行う)のハッカー集団「アノニマス」で、「ジョージ・フロイドの死」事件に対するネアポリス市警の犯罪事実を暴露する目的で攻撃を行い、ミネアポリス市警のWebサーバがダウンしました。 6月:6月中旬から7月初旬まで、ロシアでは憲法改正の是非を問う国民投票が実施され、投票期間中に中央選挙管理委員会とオンライン投票サービスを狙らったDDoS攻撃が発生しました。 6月中旬、米国の情報セキュリティ会社Cloudflareは6月18日から21日まで四日間DDoS攻撃を受けました。この攻撃は1秒あたり最高7億5400万パケットの速度を持ち、極めて大規模なDDoS攻撃でした。攻撃トラフィックは31万6000以上のIPアドレスから発信されたもので、Cloudflareの無料プラン利用者が使っていた1つのIPアドレスを狙った攻撃であったと見られています。

 第3四分期

2020年第3四分期は多数の組織がArmada Collective、FancyBear、Lazarus などのハッカーグループから脅迫メールを受け、DDoS攻撃の停止と引き換えにビットコインで身代金を要求された事件がありました。 8月~9月:脅迫型DDoS攻撃の標的となったNew Zealand Stock ExchangeのWebサイトが数日間オフラインになる事態が発生しました。その他にもPaypal、Braintree、 Indian Bank Yes Bank 及び多数の金融機関にビットコインで金額を要求する脅迫メールが送られたことが確認されています。 また第3四分期では、メディア組織を狙ったDDoS攻撃事件が少なからずありました。ロシアのテレビ放送局のDozhd は8月24日、週・夜間放送中、ニュース報道を停止させようとする攻撃を受けました。携帯キャリアのUgraproも9月初旬頃、一秒あたり5,000パケット以上のジャンクトラフィック攻撃がロシアや他の地域から送り付けられ、大きな被害を受けました。  

2021年DDoS攻撃動向予測

2020年も残り僅かとなりますが、いまだに新型コロナの流行は落ち着いていない状況です。クリスマスと年末年始を迎え盛んになる取引行為も主にオンライン上で行われると予測できます。このようなオンライン活動の増加がDDoS攻撃被害の原因にならないように細心の注意を払うことが重要です。 今回の2020年主要DDoS攻撃を調べてみた結果、DDoS攻撃は地域や産業群を問わず発生していること、そしてDDoS攻撃者は社会・政治面における話題に伴って動いていることを把握できました。企業のセキュリティ担当者は以下のようなトピックにおいてDDoS攻撃の可能性を常に念頭に置く必要があります。

デジタルトランスフォーメーションと2021年オリンピック

企業にはDX(デジタルトランスフォーメーション)を通じて事業競争力を向上させることが重要な課題となっていますが、その一方サイバー攻撃の被害が増加していることもデジタル化の過程で解決すべきの問題であります。今年にDDoS攻撃の発生が増加したのは、コロナ禍につれて一気に進んだデジタルシフトが主な原因だと見られているため、DXの推進と共にDDoS攻撃への警戒心を持ち、被害を未然に防止することが重要です。 2021年開催予定である東京オリンピックもDDoS攻撃者にとって良いチャンスになる可能性があります。Ciscoの報告書によると、2016年リオオリンピックで約1カ月間の大会期間中に検知されたDDoS攻撃が223回で、極めて大規模な攻撃が行われました。2021年の東京オリンピックでこのような攻撃が発生しないという保証はできません。 加速するDXと国際的なイベントであるオリンピックによって大規模なサイバー攻撃に露出されないためには、DDoS攻撃を含むサイバーテロに徹底的に備える必要があります。 Cloudbricは全てのレイヤーに対するDDoS攻撃を遮断し、大規模のDDoS攻撃にも速やかに対応できる「Advanced DDoS Protection」を提供しております。「Advanced DDoS Protection」は、全世界45ヶ所のエッジロケーションからDDoSインテリジェンスを収集・分析・配信を行うため、様々な手段で攻撃を仕掛けてくるDDoS攻撃を防いで安全なオンライン環境を構築します。 詳細は下記のリンクをご確認ください。 https://www.cloudbric.jp/cloudbric-addos/ ...
カード情報漏えい

個人情報がつまったECサイトが狙われている!ECサイトが受ける不正アクセス攻撃とリスクについて徹底解説 その2

前回、ECサイトが受ける不正アクセス攻撃による「個人情報漏えい」のリスクについてご紹介しました。2回目となる今回はもうひとつのリスク、「クレジットカードの不正利用」について解説していきたいと思います。ネット利用が普及し生活が便利になる一方で、日々、多くのECサイトでクレジットカード情報漏えい事故が起こっています。ECサイトの担当者へのアンケートによると、49.1%が「ECサイトに対してサイバー攻撃を受けたことがある」と回答しています。ECサイトの立ち上げを検討している担当者は、ECサイトの最も大きいセキュリティリスクである「クレジットカード情報の漏えい対策」を行う必要があります。  

クレジットカード決済で不正利用が起こる原因

クレジットカードは、現代における生活の必需アイテムになっています。クレジットカードがあれば、手持ちの現金がなくても実店舗で買い物できますし、ネット通販でも手軽に決済できます。とても便利なものですが、クレジットカードは悪意ある第三者によって不正利用されてしまうリスクがあることも心得ておかなければなりません。そして近年、ECサイトが不正アクセスを受け、顧客情報の他に、クレジットカード情報が漏えいする事件が相次いでいます。 日本クレジット協会の発表によると、2018年のクレジットカード不正利用被害額は235.4億円、2019年は上半期だけで137億円となっています。金額も増加していますが、比率がそれ以上に増加していて、クレジットカードの持ち主が意図しない不正利用がECサイトなどで多発していると言えます。クレジットカード決済で不正利用が起こる原因とその手口は、以下のものがあげられます。

フィッシング

フィッシングとは、金融機関などの有名企業を詐称したメールを送り付け、本文のURLをクリックさせることで偽サイトに誘導し、不正にIDとパスワードなどを詐取する詐欺行為のことです。設定変更や機能追加を行うためとしてメール本文のURLをクリックさせ、本物とそっくりのフィッシングサイトに誘導し、ID、パスワード、口座番号などを入力させ、これらの情報を搾取することを目的としています。近頃よく見られる手法に、Office 365のようなクラウドアプリケーションのログイン認証情報を盗み出すためにも使われます。ハッカーは、自分のOffice 365アカウントにログインして、プラットフォームへのアクセスの再取得、共有ファイルの回復、アカウント情報の更新など実行するように促すメールをユーザーに送信します。 フィッシングの一種であるスピアフィッシングと呼ばれる攻撃手法もあります。フィッシングは不特定多数の人へ行われるのに対し、スピアフィッシングは特定の標的を狙って行われます。フィッシングは大量配信攻撃であり、比較的広範囲に罠を仕掛けます。スピアフィッシング攻撃は槍(spear)を突き刺すように標的を定めて攻撃を行うため、騙されやすく非常に危険な攻撃です。メールによるスピアフィッシング攻撃は、日本では「標的型攻撃メール」とも称されます。スピアフィッシング攻撃は、事前に情報収集を行った結果を元に標的に狙いを定めて攻撃を行うため、精度が高いという特徴を持ちます。

スキミング

「スキミング」というのは、クレジットカードの情報を不正に入手して、まったく同じ偽造カード(クローンカード)を作って不正利用する犯罪のことです。クレジットカードそのものを盗むのではなく、「スキマー」と呼ばれる装置を使って、クレジットカードの磁気ストライプに書き込まれている情報のみを読み取るため、自分が被害者であることに気がつきにくいという特徴があります。 このスキミングがさらに進化したのがオンラインスキミングです。オンラインスキミングとはECサイトなどに不正なコードを挿入し、利用者が入力した決済情報を盗む行為を指します。ユーザーがフォームに入力したクレジットカード情報を盗み取るため、カード番号や有効期限だけではなく、不正利用防止のために設定されているセキュリティコードまで盗まれてしまいます。さらに、本人認証用の3Dセキュアのパスワードまで盗まれることもあります。オンラインスキミングでは偽決済ページヘの誘導を行ったり、不正者への情報送信を行ったりします。こちらの手口ではECサイトのカード情報入力フォームに直接JavaScriptのコードが埋め込まれています。利用者がカード情報を入力し確認ボタンをクリックすると、不正者にも入力されたカード情報が送信され、個人情報が盗まれてしまいます。

なりすまし

「なりすまし」とは、流出した、もしくは盗み取ったカード情報を使って、第三者が本人になりすまして、クレジットカードを不正利用する手口です。上記のフィッシングやスキミング、そしてサイトからの情報漏えいで流出してしまったカードを本人になりすまして、不正利用します。一般社団法人日本クレジットカード協会によると、年によって増減がありながらも、全体的に増加傾向です。内訳としては番号盗用による被害が多くを占めています。  

ECサイトからの情報流出

前回のようなパスワードアタックのような攻撃にあい、ECサイトから直接カード情報が流出する危険性もあります。
EXILEの公式ECサイトに不正アクセス カード情報4万4000件が流出か 2020年12月08日 音楽ユニット「EXILE」などが所属する芸能事務所LDH JAPANは12月8日、同社が運営するECサイト「EXILE TRIBE STATION ONLINE SHOP」が不正アクセスを受け、4万4663件のクレジットカード情報が流出した可能性があると発表した。このうち209件のカード情報については、11月27日時点で第三者に不正利用された可能性がある。 流出の可能性があるのは、8月18日~10月15日に同サイトでカード情報を登録するか、登録済みの情報を変更した利用者のカード名義人、カード番号、有効期限、セキュリティコード。 引用:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2012/08/news139.html
こうしたニュースが今も後を断ちません。セキュリティ対策に無頓着な場合、いつ自社が狙われてもおかしくはないのです。  

クレジットカード情報が漏えいした場合のECサイトのリスク

1. ECサイトの閉鎖 カード情報が流出した場合、カード決済の停止やサイトを一時閉鎖するなどの措置がとられます。セキュリティ事故が起きると約半数のサイトが完全復旧できないほか、完全復旧するにはECサイトのリニューアルが必要で、ECサイトの信頼度低下や顧客離れなどを含めると、セキュリティ事故のダメージは計り知れないものとなります。 2.フォレンジック調査の費用 「フォレンジック調査」は漏えい発生に際し、原因特定や被害範囲特定を行うための調査です。カード会社との加盟店契約において、加盟店は漏えい事故が起きた際の調査が義務付けられています。特定の専門機関への調査依頼が必要となり、調査費用は数百万円から1000万円程度が見込まれます。 3.対象顧客への報告と損害賠償金の支払い お客様へのお詫び対応のデスク設置やクレジットカードの差し替え費用、損害賠償金の支払い等が発生します。カード情報が流出した場合、ほとんどのケースは裁判になります。そしてその賠償金は、過去の判決例から分類すると、秘匿性に合わせて大きく3種類です。 まず、秘匿性が「低」と判断される場合です。住所や氏名など、特殊な情報でない場合がこれに該当します。この場合の相場は、一件あたり500円から1,000円くらいです。 次に、秘匿性が「中」の場合です。クレジットカード情報や、収入、職業に関する情報など、一般的には知られていないはずの情報がこれに該当します。この場合、一件あたり1万円くらいが相場となります。そして、秘匿性が「高」と判断されるケースでは、一件あたり3万円超となります。極めて個人的な情報、たとえばスリーサイズや手術歴、ユーザーIDとパスワードのセットなどがこれに該当します。因みに過去の判例で、1件当たり平均想定損害賠償額は3億3,705万円となっています。 4.社会的信頼の失墜 監督庁への報告がマスコミの報道や、ネットでの情報掲示でネガティブ情報として取り上げられる可能性があります。企業の社会的信頼が薄れ、株価が下落します。顧客に不安を与え、顧客離れが起きます。 5.行政の指導や罰則のおそれ 2018年6月1日に施行された「割賦販売法の一部を改正する法律(改正割賦販売法)」では、クレジットカードを取り扱うEC事業者などに対して、「クレジットカード情報の適切な管理」と「不正使用防止対策の実施」が義務付けられ、カード情報の漏えい対策として制定された同法律では、法的にもEC事業者への責任が強化されています。  

さいごに

システムのセキュリティホールは、色々な角度から狙われています。攻撃者は対象のシステム全体から、SSHやFTP等のリモートアクセスの他、ウェブサイトへのSQLインジェクションの試行等、攻撃可能なセキュリティホールをあらゆる手段を駆使してスキャンしています。こうした攻撃に対する「クレジットカード情報の漏えい対策」には、WAFのような不正検知システムの導入が効果的です。いつ、どのような手段によって行われるか分からない攻撃に備えるためには、システム全体のセキュリティ対策が必要ということになります。 WAF は従来のファイアウォールや IDS/ADS では防御しきれなかった攻撃の検知・防御が可能となります。ファイアウォールは、主に不要なサービス(サービスポート)へのアクセスを制限し、不正なアクセスの防御を行っております。また IDS/ADS では不正なアクセスを検知するとアクセス元の通信を遮断します。しかし Web サイトなど、公開されているサービス(HTTP や HTTPS)はファイアウォールでは制限されない形となるため Web アプリケーションに脆弱性があると攻撃の脅威となります。WAF ではファイアウォールや IDS/ADS では検知できない攻撃を検出することができます。 クラウド型セキュリティ・プラットフォーム・サービス https://www.cloudbric.jp/cloudbric-waf/ ...
Award

クラウドブリック、コロナ時代の在宅勤務ソリューションの Remote Access Solutionで2020 Golden Bridge Awards 受賞

クラウド&エッジコンピューティングセキュリティ企業のクラウドブリック株式会社(英文社名:Cloudbric Corp. 代表取締役:鄭 泰俊、http://139.162.127.206/jp)は12月10日、主力サービスである「Cloudbric Remote Access Solution(以下、Cloudbric RAS)」が、「COVID-19と戦い、その影響を減らすためのサービス(Best Service To Combat and Reduce the Impact of COVID-19)」部門にてゴールデンブリッジ賞の銀賞を受賞したのでお知らせいたします。 ゴールデンブリッジアワードは、ビジネス成果と革新を称え、知らしめることを目的として創設された賞で、各分野で最高の企業や技術を選定及び表彰します。今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらしたビジネス環境の変化が著しかったため、これに対するカテゴリが新設されました。 コロナ過により在宅勤務が急速に普及するにつれ、セキュリティ脅威も増加してきました。Cloudbric RASはVPNを使用せずに、いつどこでもWebブラウザー環境であれば、認証基盤のアクセス管理が実現できる上、3つのセキュリティ対策でテレワーク環境を安全に保護できるリモートアクセス・ソリューションです。新型コロナの影響が続くまでにセキュリティ対策の弱い産業群を対象に無料で配布し被害を最小限に抑えるために努力してきたことが認められ、今回の賞を受賞致しました。 クラウドブリックは、コロナをきっかけとして新しい働き方へのシフトが加速することを予測し、最適のテレワーク環境のためのCloudbric RASをリリース致しました。今後も、急速に変化するニューノーマル時代において各企業環境に合わせた柔軟なセキュリティ対策を実現するためにクラウドブリックベースのセキュリティ・プラットフォーム・サービスの持続的な開発・提供に努めてまいります。   2020年ゴールデンブリッジアワード受賞者はこちら https://goldenbridgeawards.com/winners/2020-business-awards-winners/ Cloudbric RASの詳細はこちら https://www.cloudbric.jp/cloudbric-ras/   ■クラウドブリック株式会社 クラウドブリック株式会社は、アジア・パシフィック地域マーケットシェア1位に誇るWebアプリケーションファイアウォールの開発企業ペンタセキュリティシステムズ(株)の社内ベンチャーとして創業した以来、クラウド型セキュリティ・プラットフォーム・サービス「Cloudbric」をリリースしました。現在18カ国28カ所の世界のサービスリージョンを保有しており、日本国内で6,000サイト(2020年 6月)、グローバルで15,000サイト以上のお客様のWebサイトを保護しております。また、WAFサービスを初め、IoT&End-Point保護サービス、サイバーセキュリティ研究所に至るまで、幅広い分野で様々なクラウド基盤のセキュリティサービスを展開しております。 ...
情報漏えい対策WAF

個人情報がつまったECサイトが狙われている!ECサイトが受ける不正アクセス攻撃とリスクについて徹底解説 

ECサイトが受けるセキュリティ脅威として、主に「個人情報漏えい」と「クレジットカードの不正利用」があります。個人情報漏えいは、外部からの不正アクセス(サイバー攻撃)によって、自社で保有している個人情報が流出してしまうことです。近年、特に「パスワードリスト攻撃」の被害によって個人情報が流出してしまうサイトが相次いでいると危惧されています。今回は2回に分けて、ECサイトが受ける攻撃とその事例、そして対策についてまとめてみました。第一回目は「パスワードリスト攻撃」による情報漏えいについての手法を中心にご紹介します。  

ECサイトが受ける不正アクセス攻撃とリスク

ECサイトは購入者の個人情報やクレジットカードといった、サイバー攻撃者に狙われやすい情報が蓄積されていて格好のターゲットとなっています。もしECサイトが一度不正アクセスを受けると次のような被害が発生します。
  • 現金化しやすい「ポイントチャージ」商品を大量に購入する。
  • 登録しているクレジットカード情報を盗み出し、別サイトで決済する。
  • 住所を変更し、現金化しやすい商品を大量に購入、発送する。

不正アクセス攻撃によってサイト運営者がうけるリスク

ECサイトが攻撃を受けて顧客の個人情報やカード情報等が流出すると、以下のようなリスクが発生します。
  • 購入者をはじめ、社会からの信頼を失墜。
  • 事実告知やお詫び等の費用・労力。
  • 当該サイトを一時閉鎖することによる、売上減少。
  • 漏洩原因の調査、システムの改修等の費用。
  • 購入者様のカード差替費用。
  • 行政当局、マスコミへの対応。
  • 個人情報流出への損害賠償の支払い。
こうしたリスクは社会的信用の失墜の他、莫大な損害賠償等金銭的負担も大きくかかってくる場合があります。サイト運営者が、情報が流出した顧客一人一人に賠償しなければならなくなることもあります。個人情報流出の損害賠償平均額は年々莫大になり、JNSAの『2018年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書』によると、一件あたり平均想定損害賠償額は6億3,767万円ともなりました。企業価値の維持とリスクヘッジのため対策が絶対不可欠になってきます。  

パスワードリスト攻撃の手法

パスワードリスト攻撃

「パスワードリスト攻撃」とはリスト攻撃とも言われ、オンラインサービス等への不正ログインを狙った不正アクセス攻撃の一種です。何らかの手段により他者のID・パスワードを入手した第三者が、これらのID・パスワードをリストのように用いてさまざまなサイトにログインを試みることで、個人情報の閲覧や窃盗などを行うサイバー攻撃です。このリストは他のサービスから流出、窃取されたIDとパスワードのリストで、他のサービスでも同様のID、パスワードを利用している場合には総当たりが不要で、リストに従って不正アクセスを試行すれば簡単にアカウントの乗っ取りが可能になります。 ユーザがとあるサイトA、サイトB、サイトCで同じパスワードを使いまわしていた場合、どこか一つのサイトが攻撃を受けてそのパスワードリストが流出すれば、他のサイトもアカウントを不正に乗っ取ることが可能になります。ユーザ側がパスワードを使い回す理由は、「各サイトともに、大文字小文字、数字、記号などを組み合わせるパスワードを求めているが、こうした複雑なパスワードをたくさん覚えられない。よって、要件を満たすパスワードを1つ作って、そのパスワードを複数のサイトで使い回すのが便利」という考えからです。 パスワードリスト攻撃による被害が増えている理由として、IDとパスワードがセットになったリストが「ダークウェブ」(闇ウェブ)などで販売されている点があげられています。仮にサイトAからパスワードリストが流出し、サイトAがパスワードの変更等措置を講じても、他のサイトではそのパスワードを使える可能性が高く、攻撃者は別なハッカーに対して、「ショッピングサイトAから流出したパスワードリスト」を販売する手法をとることもあります。匿名性が高い「ダークウェブ」上で情報のやり取りをし、決済はビットコインなどの「仮想通貨(暗号資産)」を使い、「誰がどこで決済したか」が分からないように売買を行います。

その他の攻撃

ネットショップの中にはカスタマイズ性の高いオープンソースのショッピングカートを使ってるところもあります。しかしきちんとバージョンアップへの対応等メンテナンスを行えていないところもあり、そうした場合、カートシステムのプログラムの脆弱性を突かれ不正アクセスを受けることもあります。  

パスワードリスト攻撃による実際の攻撃事例

ヤマト運輸がクロネコメンバーズ3467件の不正ログインを確認 - 2019年7月25日 ヤマト運輸は7月24日、クロネコメンバーズのWebサービスにおいて外部から「パスワードリスト攻撃」(他社サービスから流出した可能性のあるIDとパスワードを利用して、Webサービスにログインを試みる手法)による不正ログインがあったことが判明したと発表した。 同社によると、7月23日に特定のIPアドレスからの不正なログインを確認し、緊急の措置として該当のIPアドレスからのログインを遮断するなどの対策を講じた上で調査した結果、不正なログインに使用されたID・パスワードは同社で使用されていないものが多数含まれており、他社サービスのID・パスワードを使用したパスワードリスト攻撃による不正ログインと判明したという。 引用:https://news.mynavi.jp/article/20190725-865750/
「リスト型アカウントハッキング(リスト型攻撃)」による弊社オンラインストアサイトへの不正ログインの発生とパスワード変更のお願いについて -2019年05月14日 株式会社ファーストリテイリング株式会社ユニクロ株式会社ジーユー弊社が運営するオンラインストアサイト(ユニクロ公式オンラインストア、ジーユー公式オンラインストア)において、お客様ご本人以外の第三者による不正なログインが発生したことを、2019年5月10日に確認しました。 今回の不正ログインは、2019年4月23日から5月10日にかけて、「リスト型アカウントハッキング(リスト型攻撃)」の手法で行われ、現時点判明分で不正ログインされたアカウント数は、461,091件となります。 引用:https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/corp/press-release/2019/05/19051409_uniqlo.html
「カメラのキタムラ」にリスト型攻撃で不正アクセス、個人情報が閲覧された可能性 -2020年6月17日 キタムラは6月15日、ECサイト「カメラのキタムラ ネットショップ」で“なりすまし”による不正アクセスが発生したと発表した。 不正アクセスの手法は、何らかの手段により他者のID・パスワードを入手した第三者が、これらのID・パスワードをリストのように用いてさまざまなサイトにログインを試みることで、個人情報の閲覧などを行うサイバー攻撃「リスト型アカウントハッキング(リスト型攻撃)」。 悪意の第三者が外部で不正に取得したと考えられるメールアドレス・パスワードを使い、「カメラのキタムラ ネットショップ」に不正ログインを試行。複数人の会員情報で不正アクセスが行われ、顧客情報が閲覧された可能性があるという。 引用:https://netshop.impress.co.jp/node/7742
こうした大手のサイトでも次々とパスワードリスト攻撃の被害が生じています。いつ自社が被害にあうか常に危機意識を持つ必要があります。

パスワードリスト攻撃への対策にも有効なWAF

「パスワードリスト攻撃」などは、ユーザにパスワードの使い回しをやめるよう注意喚起する方法もあります。もちろんそれだけではセキュリティ対策として不十分です。ECサイトへの攻撃を運営側が防ぐには次のような対策を取り入れるのが推奨されています。
  • 多要素認証(二段階認証)が導入されている。
  • リスクベース認証が導入されている。
  • これまでログインされたことがないIPアドレス (接続元) からアクセスがあった場合のみ、追加の認証を要求する。
  • 住所変更、クレジットカード変更など、重要な情報を変更するときには、ID・パスワード以外の情報を追加で要求する。
  • ログインすると、自動のメールなどで「現在ログインされました」という通知が送られる。(万が一不正アクセスが発生しても、早期に気付ける仕組み)
こうした「セキュリティに強い」サイトにするには手間をかけるか、ツールの導入も検討すべきでしょう。例えばクラウド型WAF(Webアプリケーション・ファイアーウォール)ならばWebサイトやWebサーバへのサイバー攻撃を可視化し、攻撃をブロックすることも可能です。例えば同じIPアドレス(端末)から連続して異なるアカウントでの大量ログインを検知した際、ID・パスワードが実際に存在するか否かに関わらず強制的にそのアクセスを遮断するような機能も備わっています。そのため今回ご紹介したような「パスワードリスト攻撃」への有効な対策となります。 クラウド型セキュリティ・プラットフォーム・サービス https://www.cloudbric.jp/cloudbric-waf/ ...