なりすましメールとは? ランサムウェア被害を受けないための対策方法について解説

なりすましメールはサイバー攻撃の一種であり、あらゆる企業をターゲットとして被害を及ぼすおそれがあります。ときに被害は甚大となることもあるため、企業は適切な対策を講じなくてはなりません。本記事では、なりすましメールのよくある手口や、なりすましメールを通じたランサムウェアへの感染によって生じる被害、具体的な対策方法などについて解説します。

 

なりすましメールとは?

なりすましメールとは、実在する人物や企業を装い、悪意のもと送信されるメールです。なりすましメールの目的は、マルウェアへの感染やそれに伴う情報・金銭の詐取などです。これは標準型攻撃(特定の相手を狙うサイバー攻撃)における「初期侵入」の段階に該当します。

近年は、SaaS事業者を対象とした、ランサムウェア(マルウェアの一種)による攻撃事例が報告されています。それらの多くは、感染先で不具合を引き起こし、解決と引き換えに金銭を要求するケースです。

 

ランサムウェアに感染するとどうなるのか?

ランサムウェアは、身代金要求型ウイルスとも呼ばれています。法人を対象とするケースが多く、標的型や侵入型などの攻撃手法があります。

ランサムウェアに感染すると、保有するデータが暗号化されて使えなくなったり、デバイスがロックされて使用できなくなったりします。そのうえで、暗号化解除のパスワードやロックの解除と引き換えに身代金の支払いを要求してくるのが一般的な手口です。

また、要求に応じないとデータを公開する、DDoS攻撃を仕掛けるなど、二重・三重の脅迫を行ってくるケースもあります。ただ、身代金を支払ったからといって必ずしも状況が改善するとは限らないため、安易に応じないよう注意が必要です。

盲点を突いてくるランサムウェアの脅威認知と企業での対応策を解説

 

・被害事例:エムケイシステム

社会保険労務士向けのクラウドサービスを提供している「株式会社エムケイシステム」は、過去ランサムウェアの被害に遭っています。同社では2023年の6月5日早朝に不正アクセスを検知し、翌日にはランサムウェアの被害を受けたことを公表しました。

この攻撃によって、同社の主力製品である「社労夢」や「ネットde顧問」などが影響を受けています。情報漏えいは確認されていないものの、その懸念はあるとして調査は継続されており、事案発生から2カ月ほどの経過後も完全な復旧には至っていません。

 

・被害事例:パーパス

エネルギー事業を手掛ける「パーパス株式会社」も、マルウェアの被害に遭っています。同社は、エネルギー事業者向けの管理システム「クラウドAZタワー」の稼働に関わるサーバーが、マルウェアによる被害を受けたと2023年6月8日に公表しました。

同社では、攻撃がランサムウェアによるものかどうかは断言していません。これは身代金の要求がなかったためです。しかし、OSやソフトウェアの暗号化、消失といった手口はランサムウェア攻撃と酷似しています。

なお、情報漏えいなどは確認されていないものの、クラウドAZタワーのシステム基盤に損傷が見つかりました。そのため、システム基盤再構築やデータの復旧など、膨大な手間が発生しています。

 

なりすましメールの対策方法

なりすましメールへの主な対策として、ここでは4つの方法を解説します。

 

・メールアドレス・本文などを確認する

送られてきたメールのアドレスはもちろん、本文にも違和感がないかチェックしましょう。メールアドレスが公式サイトのものと合致しているか、文章に日本語としての違和感がないか、本文に記載されているURLが正規のものか、といった部分を重点的に確認します。

 

・メール添付のリンクやファイルを開かない

メールにマルウェアを添付し、感染させる手法はよくあるなりすましメールの手口です。少しでも違和感をいだいた場合、添付ファイルを開くのはやめましょう。また、メール本文に記載されているURLへのアクセスにあたっても慎重な姿勢が必要です。メールに不審点がなくても、送信元へ問い合わせるなど、念には念を入れて注意しましょう。

URLをクリックし、遷移先のWebサイトでパスワードや個人情報などの入力を要求された場合には、とりわけ注意しなければなりません。一度離脱し、公式サイトへアクセスし直したうえでログインするなど対策しましょう。

 

・送信ドメイン認証を活用する

送信ドメイン認証は、メールが正しい送信元から送られてきたものかどうかを検証できる認証技術です。種類としては「SPF」「DKIM」「DMARC」の3つがあります。

 

SPF(Sender Policy Framework)

SPFは、送信元メールサーバーのIPアドレスを検証し、正規のメールかどうかを確認する仕組みです。ドメインのSPFレコードをDNSサーバーへ要求し、受信したメールの送信元IPアドレスと照合して判断します。

 

DKIM(DomainKeys Identified Mail)

DKIMは、電子署名を利用した認証技術です。メールに付与された電子署名を受信側が検証することで、メール内容の改ざんやなりすましなどを回避します。

送信者は、送信するメールに秘密鍵情報を利用した電子署名を付与します。その後、DNSサーバーとメールサーバーのあいだでやり取りされた公開鍵情報を用いて、電子署名の検証を行う仕組みです。転送されたメールでも検証可能である点がメリットです。

 

DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)

DMARCは、SPFとDKIMを用いた認証が失敗に終わったときの対応策を定義したものです。メールの受信側が認証を失敗したとき、メールをどう扱うのかを判断します。

送信側は、認証失敗時に受信側がどのようなアクションを起こすべきかを、DMARCポリシーとして定めます。なお、このポリシーは運用側で定義可能です。誤判定によるなりすましメールを検出できるほか、なりすましメール対策の効果がより高まるというメリットもあります。

 

・ゼロトラストセキュリティを構築する

ゼロトラストとは、「すべてを信用しないこと」をベースとしたセキュリティの概念です。

従来は、ファイアウォールでネットワークの外と内を明確に区別し、外側からだけの脅威に対策をしていました。
しかし、クラウドサービスの拡大や働き方の多様化などにより、従来の境界型セキュリティ対策では限界が見え始めています。すべてを疑うゼロトラストの考えに基づいたセキュリティ環境の構築により、これまで以上に堅牢なセキュリティ環境を整備でき、なりすましメールへの防御力も強化できます。

 

まとめ

なりすましメールによってランサムウェアに感染すると、自社のデータが暗号化され使えなくなる、金銭的な被害を受けるなどさまざまな不利益を被ります。適切な対策によってランサムウェアの被害は防げるため、セキュリティ向上の取り組みを進めましょう。

なりすましメール対策にも有効なゼロトラスト環境の構築に役立つソリューションとしては、「Cloudbric RAS」がおすすめです。安全なテレワーク環境の整備による、多様な働き方の実現も目指せます。この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

認証基盤リモートアクセスソリューション Cloudbric RAS

 

▼製品・サービスに関するお問い合わせはこちら

▼Cloudbirc WAF+の無償トライアルはこちら

▼パートナー制度のお問い合わせはこちら