AWS WAFとは? 特徴や料金、メリット・デメリットを解説

近年、WebサイトやWebアプリケーションの安全の確保がますます重視されています。AWS WAFは、Amazon Web Servicesが提供するセキュリティサービスで、Web上のリソースをさまざまな脅威から守るためのソリューションです。本記事では、このAWS WAFの特徴や料金、そして導入のメリット・デメリットについて詳しく解説します。AWS WAFの導入を検討する際の参考情報として、ぜひご覧ください。

 

AWS WAFとは? 特徴などをわかりやすく解説

AWS WAFとは、どのようなサービスなのでしょうか。AWS WAFを理解するために、AWSとWAFそれぞれについてはじめに解説します。

 

・AWSとは?

AWS(Amazon Web Services)とは、Amazonが提供するクラウドサービスの総称です。AWSを導入すると、ストレージ、アプリケーション開発、データ分析、機械学習など、多種多様な機能を必要なときに必要なだけ利用できます。さらに、AWSはクラウドサービスであるため、運用コストが低く導入しやすくなっています。このため、多くの企業がWebサービスの展開や開発環境の構築、データ活用などにAWSを活用しています。

 

・WAFとは?

WAFとは“Web Application Firewall”の略で、WebサイトやWebアプリケーションの防御に特化したセキュリティツールです。WAFは以下のように、さまざまな攻撃からWeb上のリソースを保護します。

【WAFで対処できる代表的な攻撃例】

  • SQLインジェクション
  • クロスサイトスクリプティング(XSS)
  • DDoS攻撃
  • ブルートフォース攻撃
  • バッファオーバーフロー

 

・AWS WAFとは?

AWS WAFはその名の通り、AWSが提供するWAFです。その大きな特徴は、セキュリティ機能や脅威の検知ルールを柔軟にカスタマイズできることにあります。このため、企業は自社のニーズに応じてセキュリティ対策を選択・調整できます。その他、AWS WAFに含まれる主な機能や特徴は次の通りです。

【主要機能および特徴】

  • Webトラフィックフィルタリング機能
  • AWS WAF Bot Control
  • アカウント作成詐欺防止
  • アカウント乗っ取り詐欺の防止
  • リアルタイムの可視性
  • フル機能 API
  • AWS Firewall Manager への統合

このような機能を組み合わせてコンテンツへのアクセスを監視・制御し、Webリソースの安全を確保します。

 

AWS WAFの料金体系

作成するWeb ACLの数、および作成するルール数、さらにWeb ACLによって処理された Web リクエストの数によって料金が決まります。使用分のみの支払いとなり、初期費用はかかりません。AWS WAFは非常にコストパフォーマンスに優れたWAFですが、通信量が多い場合には高コストになる場合もありますので注意が必要です。

課金体系は以下の通りです。

  • 作成したWeb ACL数:1ACLあたり5USD/月
  • 作成したルール数:1ルールあたり1USD/月
  • AWS WAFへのリクエスト数:0.6USD/100万リクエストごと

詳しくは、AWS公式サイトをご確認ください。

 

AWS WAFの4つのメリット

AWS WAFを導入することで、企業は具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。AWS WAFの強みを4つ解説します。

 

・メリット1:導入が簡単

AWS WAFの特長のひとつが、非常に簡単に導入できることです。従来のアプライアンス型のソリューションとは異なり、AWS WAFでは特別なソフトウェアのインストールや複雑な設定が必要ありません。AWS内で運用しているAmazon CloudFrontやAmazon API Gatewayといったサービスの設定でWAFを有効にするだけで利用を開始できます。最小限の労力と時間でセキュリティを強化できるのは非常に魅力です。

 

・メリット2:低コスト

AWS WAFの料金システムは従量課金制なので、実際に利用した分だけのコストしか発生しません。利用料金は、設定するルール数などに応じて変動する形です。AWS WAFには最低使用料金や初期費用の設定もなく、無駄な出費が生じません。自社のセキュリティ予算に応じてコストコントロールがしやすい点は、企業規模を問わず大きなメリットです。

 

・メリット3:Webアプリへの攻撃対策

AWS WAFは、Webサイトを含むWebアプリケーションを狙った攻撃への対策に特化したソリューションです。AWSが提供する基本ルールセットとAPIを活用することで、SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)、DDoS攻撃など、多様な攻撃からWebアプリケーションを守れます。防御の際、トラフィックをほぼリアルタイムで監視できることもAWS WAFの強みです。このため、セキュリティの強化を目的に行う分析・監査用途のログを取るといった用途にも活用できます。

 

・メリット4:マネージドルールの活用

AWS WAFはカスタマイズ性に優れており、セキュリティの知見やノウハウに乏しい企業でも安心して使えるよう、マネージドルールが提供されています。これは、ルールのセットをテンプレートとして利用できるもので、AWS純正のものや他のセキュリティベンダーが組んだものなど、幅広い選択肢があります。例えば、SQLインジェクションを含む攻撃に対処する際は、「SQL database managed rule group」を選択できます。ルールセットの中から自社が必要なものを選ぶことで、専門的なセキュリティ知識がなくても、必要なルールを選んで安全な環境を構築できます。
WAF専門のセキュリティベンダーが提供するマネージドルールとして代表的なものに、Cloudbric Managed Rules for AWS WAFがあります。

 

AWS WAFのデメリット

AWS WAFは多くの利点があるものの、運用には一定の知識が求められます。ルールセットが提供されていますが、最適化するためにはユーザー自身が脅威や対策に関する情報を収集することが不可欠です。マネージドルールは便利ですが、自社に適したものを判断するための知識も必要です。
さらに、AWS WAFのルールセットの詳細やパラメータは非公開であり、検知した攻撃のパターンや痕跡についての詳細な解析を行いたい場合や誤検知に対処する際に、情報の不透明性が問題となることがあります。
このように、AWS WAFには、運用の難易の高さやルールセットの不透明性といったデメリットもあるため、導入を検討する際は、長所と短所を総合的に考慮して判断することが大切です。

 

まとめ

AWS WAFはWebサイトやWebアプリケーションのセキュリティ対策として強力なツールですが、いくつかのデメリットも存在します。しかし、導入のしやすさや高いカスタマイズ性など、魅力的な利点も多く備えています。AWS WAFを活用すれば、自社に適したセキュリティ対策が可能となります。導入を検討する際は、本記事で紹介した情報を参考にしてください。

 

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