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パスワードリスト攻撃とは?起こりうる被害や対策方法を解説

 

現代は情報通信技術が加速度的に進歩・発展しており、それに伴ってサイバー攻撃も多様化かつ巧妙化する傾向にあります。特にクラウドサービスやWebアプリケーションを積極的に活用している企業の場合、パスワードリスト攻撃に対する注意が必要です。本記事では、パスワードリスト攻撃の基礎知識について解説します。パスワードリスト攻撃によって起こりうる被害や対策方法なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

パスワードリスト攻撃とは

パスワードリスト攻撃とは、第三者が不正な手段でIDやパスワードを入手し、本人になりすましてログインするサイバー攻撃です。攻撃者がIDやパスワードを不正に入手する方法は多岐にわたります。例として挙げられるのは、正規のサービスを装ってIDやパスワードを入力させるフィッシングメール、キーボードの入力情報を記録するキーロガーを介したデータの窃取、またはパスワードを総当たりで解読するブルートフォース攻撃などです。

また、組織内部の人間による意図的なデータの流出や、ヒューマンエラーによる情報漏えいなどもパスワードリスト攻撃の起点になり得ます。パスワードリスト攻撃は正規のユーザーが実際に使用しているID・パスワードを悪用してログインするため、不正アクセスとして検知しにくい傾向にあります。同じパスワードを使い回している場合、別のサービスにまで被害が拡大する点もパスワードリスト攻撃の特徴です。

 

パスワードリスト攻撃によって起こりうる被害

パスワードリスト攻撃の標的となった場合、想定される被害として以下の3つが挙げられます。

 

・SNSのアカウントが乗っ取られる

パスワードリスト攻撃によってIDやパスワードを窃取された場合、なりすましによるSNSアカウントへの不正なログインが可能です。攻撃者はそのアカウントを利用して持ち主が意図しない内容を不正に投稿できるため、フォロワーに誤解を与えてしまう可能性があります。

また、不正にログインしたアカウントをスパムの起点として悪用されるケースも珍しくありません。企業の公式アカウントが乗っ取られた場合、ブランドイメージの失墜につながるのはもちろん、正規のアカウントを装った詐欺行為に利用されるリスクが懸念されます。

 

・個人情報・機密情報が漏えいする

パスワードリスト攻撃によって想定される被害のひとつが機密情報の漏えいです。近年ではクラウドコンピューティングの普及に伴い、基幹業務を統合的に管理するERPや、顧客関係を一元管理するCRMをクラウド環境で運用する企業が少なくありません。

第三者にIDやパスワードを悪用されると、従業員の個人情報や顧客情報、あるいは製品開発情報や財務情報といった機密度の高いデータを盗み出される可能性があります。こうした機密性が流出した場合、企業の信頼性が損なわれるだけでなく、多額の賠償責任を負うことも考えられます。

 

・クレジットカードを不正利用される

パスワードリスト攻撃によって、クレジットカードの不正利用も起こりえます。たとえばECサイトにはユーザーの氏名や住所、電話番号、メールアドレス、さらにはクレジットカード情報など、さまざまな重要データが保存されています。

パスワードリスト攻撃によってECサイトに不正ログインされた場合、攻撃者は登録されているクレジットカード情報を盗み出し、ユーザーになりすまして商品やサービスを購入することが可能です。また、窃取したクレジットカード情報を違法賭博や不正取引などに悪用される可能性もあります。

 

パスワードリスト攻撃の対策方法

パスワードリスト攻撃から情報を保護するためには、以下に挙げる5つの対策を意識することが大切です。

 

・複雑なパスワードを設定する

パスワードリスト攻撃を防止する基本的な対策はパスワードの複雑化です。単純なパスワードは簡単に推測されるため、英字や数字を組み合わせるのはもちろん、大文字や小文字、記号などを含めること、そして文字列に意味をもたせないことで情報窃取のリスクを軽減できます。また、パスワードの長さも重要な要素であり、一般的には12文字以上のパスワード設定が推奨されます。

 

・ID・パスワードを使い回さない

複数のサービスでID・パスワードを使い回している場合、ひとつのサービスで情報が漏えいすると、他のサービスにも不正アクセスされるリスクが高まります。IDとパスワードの使い回しはパスワードリスト攻撃の大きなリスク要因となるため、サービスごとに設定するパスワードを変更することが重要です。なお、パスワード管理ツールを利用することで、複数のパスワードを安全かつ効率的に管理できます。

 

・多要素認証を使用する

多要素認証とは、2つ以上の認証要素を組み合わせてユーザーの真正性を確認する認証方式です。たとえばID・パスワードだけでなく、スマートフォンを介した認証コード、あるいは指紋や網膜などの生体認証を取り入れることで強固なセキュリティを担保できます。仮にIDやパスワードを窃取されたとしても、他の認証要素を突破しなければログインできないため、パスワードリスト攻撃に対する強力な防御手段となります。

 

・脆弱性診断を実施する

脆弱性診断とは、専用のツールなどを使用し、サーバーやネットワーク、データベースなどに内在する脆弱性をスキャンするプロセスです。ITシステムやアプリケーション全体を網羅的に検査し、サイバー攻撃の起点になり得るセキュリティホールを特定します。定期的に脆弱性診断を実施し、発見されたセキュリティホールにパッチを適用することで強固なセキュリティレベルを維持できます。

 

・WAFを利用する

WAF(Web Application Firewall)は、アプリケーション層へのサイバー攻撃を防止するシステムです。Webアプリケーションはクライアントの要求に対して動的に応答する仕組みであり、不正なSQLコマンドの実行で情報を窃取される脆弱性が存在します。WAFはリクエストを検査して異常なパターンや入力を検知したり、特定のIPアドレスからの大量アクセスをブロックしたりできるため、アプリケーション層の脆弱性を狙うさまざまなサイバー攻撃を防止できます。

 

パスワードリスト攻撃を防ぐなら「Cloudbric WAF+(クラウドブリック・ワフプラス)」がおすすめ

「Cloudbric WAF+」は、Webアプリケーションを基盤とするシステムの脆弱性を保護し、不正アクセスやマルウェアなどのサイバー攻撃を遮断するセキュリティサービスです。Webトラフィック特性学習AIエンジンと論理演算(ロジック)検知エンジンを搭載しており、高度なサイバー攻撃も遮断できます。

また、セキュリティエキスパートのマネージドサービスがついているため、セキュリティ専門家がいなくても簡単に導入・運用できる点が大きなメリットです。パスワードリスト攻撃を含むサイバー攻撃から情報資産を保護するためにも、「Cloudbric WAF+」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

(参照:Cloudbric WAF+

 

まとめ

パスワードリスト攻撃は第三者がIDやパスワードを不正に入手し、本人になりすましてログインするサイバー攻撃です。パスワードリスト攻撃の標的となった場合、SNSアカウントの乗っ取りや機密情報の漏えい、クレジットカードの不正利用といった被害が起こりえます。パスワードリスト攻撃による被害を防止するためには、複雑なパスワードを設定して使い回しを避け、定期的な脆弱性診断を実施するとともに、WAFのようなセキュリティソリューションを活用することが大切です。

 

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情報漏えい対策WAF

個人情報がつまったECサイトが狙われている!ECサイトが受ける不正アクセス攻撃とリスクについて徹底解説 


ECサイトが受けるセキュリティ脅威として、主に「個人情報漏えい」と「クレジットカードの不正利用」があります。個人情報漏えいは、外部からの不正アクセス(サイバー攻撃)によって、自社で保有している個人情報が流出してしまうことです。近年、特に「パスワードリスト攻撃」の被害によって個人情報が流出してしまうサイトが相次いでいると危惧されています。今回は2回に分けて、ECサイトが受ける攻撃とその事例、そして対策についてまとめてみました。第一回目は「パスワードリスト攻撃」による情報漏えいについての手法を中心にご紹介します。

 

ECサイトが受ける不正アクセス攻撃とリスク

ECサイトは購入者の個人情報やクレジットカードといった、サイバー攻撃者に狙われやすい情報が蓄積されていて格好のターゲットとなっています。もしECサイトが一度不正アクセスを受けると次のような被害が発生します。

  • 現金化しやすい「ポイントチャージ」商品を大量に購入する。
  • 登録しているクレジットカード情報を盗み出し、別サイトで決済する。
  • 住所を変更し、現金化しやすい商品を大量に購入、発送する。

不正アクセス攻撃によってサイト運営者がうけるリスク

ECサイトが攻撃を受けて顧客の個人情報やカード情報等が流出すると、以下のようなリスクが発生します。

  • 購入者をはじめ、社会からの信頼を失墜。
  • 事実告知やお詫び等の費用・労力。
  • 当該サイトを一時閉鎖することによる、売上減少。
  • 漏洩原因の調査、システムの改修等の費用。
  • 購入者様のカード差替費用。
  • 行政当局、マスコミへの対応。
  • 個人情報流出への損害賠償の支払い。

こうしたリスクは社会的信用の失墜の他、莫大な損害賠償等金銭的負担も大きくかかってくる場合があります。サイト運営者が、情報が流出した顧客一人一人に賠償しなければならなくなることもあります。個人情報流出の損害賠償平均額は年々莫大になり、JNSAの『2018年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書』によると、一件あたり平均想定損害賠償額は6億3,767万円ともなりました。企業価値の維持とリスクヘッジのため対策が絶対不可欠になってきます。

 

パスワードリスト攻撃の手法

パスワードリスト攻撃

「パスワードリスト攻撃」とはリスト攻撃とも言われ、オンラインサービス等への不正ログインを狙った不正アクセス攻撃の一種です。何らかの手段により他者のID・パスワードを入手した第三者が、これらのID・パスワードをリストのように用いてさまざまなサイトにログインを試みることで、個人情報の閲覧や窃盗などを行うサイバー攻撃です。このリストは他のサービスから流出、窃取されたIDとパスワードのリストで、他のサービスでも同様のID、パスワードを利用している場合には総当たりが不要で、リストに従って不正アクセスを試行すれば簡単にアカウントの乗っ取りが可能になります。

ユーザがとあるサイトA、サイトB、サイトCで同じパスワードを使いまわしていた場合、どこか一つのサイトが攻撃を受けてそのパスワードリストが流出すれば、他のサイトもアカウントを不正に乗っ取ることが可能になります。ユーザ側がパスワードを使い回す理由は、「各サイトともに、大文字小文字、数字、記号などを組み合わせるパスワードを求めているが、こうした複雑なパスワードをたくさん覚えられない。よって、要件を満たすパスワードを1つ作って、そのパスワードを複数のサイトで使い回すのが便利」という考えからです。

パスワードリスト攻撃による被害が増えている理由として、IDとパスワードがセットになったリストが「ダークウェブ」(闇ウェブ)などで販売されている点があげられています。仮にサイトAからパスワードリストが流出し、サイトAがパスワードの変更等措置を講じても、他のサイトではそのパスワードを使える可能性が高く、攻撃者は別なハッカーに対して、「ショッピングサイトAから流出したパスワードリスト」を販売する手法をとることもあります。匿名性が高い「ダークウェブ」上で情報のやり取りをし、決済はビットコインなどの「仮想通貨(暗号資産)」を使い、「誰がどこで決済したか」が分からないように売買を行います。

その他の攻撃

ネットショップの中にはカスタマイズ性の高いオープンソースのショッピングカートを使ってるところもあります。しかしきちんとバージョンアップへの対応等メンテナンスを行えていないところもあり、そうした場合、カートシステムのプログラムの脆弱性を突かれ不正アクセスを受けることもあります。

 

パスワードリスト攻撃による実際の攻撃事例

ヤマト運輸がクロネコメンバーズ3467件の不正ログインを確認 - 2019年7月25日
ヤマト運輸は7月24日、クロネコメンバーズのWebサービスにおいて外部から「パスワードリスト攻撃」(他社サービスから流出した可能性のあるIDとパスワードを利用して、Webサービスにログインを試みる手法)による不正ログインがあったことが判明したと発表した。
同社によると、7月23日に特定のIPアドレスからの不正なログインを確認し、緊急の措置として該当のIPアドレスからのログインを遮断するなどの対策を講じた上で調査した結果、不正なログインに使用されたID・パスワードは同社で使用されていないものが多数含まれており、他社サービスのID・パスワードを使用したパスワードリスト攻撃による不正ログインと判明したという。
引用:https://news.mynavi.jp/article/20190725-865750/

「リスト型アカウントハッキング(リスト型攻撃)」による弊社オンラインストアサイトへの不正ログインの発生とパスワード変更のお願いについて -2019年05月14日
株式会社ファーストリテイリング株式会社ユニクロ株式会社ジーユー弊社が運営するオンラインストアサイト(ユニクロ公式オンラインストア、ジーユー公式オンラインストア)において、お客様ご本人以外の第三者による不正なログインが発生したことを、2019年5月10日に確認しました。
今回の不正ログインは、2019年4月23日から5月10日にかけて、「リスト型アカウントハッキング(リスト型攻撃)」の手法で行われ、現時点判明分で不正ログインされたアカウント数は、461,091件となります。
引用:https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/corp/press-release/2019/05/19051409_uniqlo.html

「カメラのキタムラ」にリスト型攻撃で不正アクセス、個人情報が閲覧された可能性 -2020年6月17日
キタムラは6月15日、ECサイト「カメラのキタムラ ネットショップ」で“なりすまし”による不正アクセスが発生したと発表した。
不正アクセスの手法は、何らかの手段により他者のID・パスワードを入手した第三者が、これらのID・パスワードをリストのように用いてさまざまなサイトにログインを試みることで、個人情報の閲覧などを行うサイバー攻撃「リスト型アカウントハッキング(リスト型攻撃)」。
悪意の第三者が外部で不正に取得したと考えられるメールアドレス・パスワードを使い、「カメラのキタムラ ネットショップ」に不正ログインを試行。複数人の会員情報で不正アクセスが行われ、顧客情報が閲覧された可能性があるという。
引用:https://netshop.impress.co.jp/node/7742

こうした大手のサイトでも次々とパスワードリスト攻撃の被害が生じています。いつ自社が被害にあうか常に危機意識を持つ必要があります。

パスワードリスト攻撃への対策にも有効なWAF

「パスワードリスト攻撃」などは、ユーザにパスワードの使い回しをやめるよう注意喚起する方法もあります。もちろんそれだけではセキュリティ対策として不十分です。ECサイトへの攻撃を運営側が防ぐには次のような対策を取り入れるのが推奨されています。

  • 多要素認証(二段階認証)が導入されている。
  • リスクベース認証が導入されている。
  • これまでログインされたことがないIPアドレス (接続元) からアクセスがあった場合のみ、追加の認証を要求する。
  • 住所変更、クレジットカード変更など、重要な情報を変更するときには、ID・パスワード以外の情報を追加で要求する。
  • ログインすると、自動のメールなどで「現在ログインされました」という通知が送られる。(万が一不正アクセスが発生しても、早期に気付ける仕組み)

こうした「セキュリティに強い」サイトにするには手間をかけるか、ツールの導入も検討すべきでしょう。例えばクラウド型WAF(Webアプリケーション・ファイアーウォール)ならばWebサイトやWebサーバへのサイバー攻撃を可視化し、攻撃をブロックすることも可能です。例えば同じIPアドレス(端末)から連続して異なるアカウントでの大量ログインを検知した際、ID・パスワードが実際に存在するか否かに関わらず強制的にそのアクセスを遮断するような機能も備わっています。そのため今回ご紹介したような「パスワードリスト攻撃」への有効な対策となります。

クラウド型セキュリティ・プラットフォーム・サービス

Cloudbric WAF+

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今でも続くWebアプリケーションへの攻撃!JPCERT/CCの最新レポートから読み解く攻撃手法を解析

10月15日、一般社団法人 JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)が、2020年第2四半期のインシデント報告対応レポートを発表しました。国内外で発生するコンピューターセキュリティインシデントの報告をとりまとめたもので、今回は2020年7月1日~9月30日までの間に受け付けたインシデント報告の統計および事例について紹介されています。それによると、今期のインシデント件数は8386件で、前四半期の約1.2倍へと拡大しています。またフィッシング攻撃やWebサイトの改ざん、マルウェアサイトなどで増加が見られたということです。今回はこのレポートを基に、今危機感を持つべきWebサイトへの攻撃への高まりとは具体的に何か、その対処法はあるのかを重点においてお届けしていきたいと思います。

 

インシデント報告対応レポート統計

JPCERT/CCは、インターネット利用組織におけるインシデントの認知と対処、インシデントによる被害拡大の抑止に貢献することを目的として活動しています。今回発表されたレポートの統計についてまとめてみました。

インシデント報告関連件数

引用:JPCERT/CC

 こちらの図に示されているWebフォーム、メール、FAX等でJPCERT/CCに寄せられた報告の総件数は13,831件で、前四半期の1万416件から33%増加しています。JPCERT/CC が国内外の関連するサイトとの調整を行った件数は 4,807件で、前年比で調整件数は14%増加しました。

インシデントのカテゴリーごとの内訳

引用:JPCERT/CC

 インシデントの内訳を見ると、「フィッシングサイト」が5845件で前四半期から11%増加しています。7月は1842件、8月は1849件、9月は2154件と後半にかけて増加傾向が見られます。今期気になるのは、「サイト改ざん」と「スキャン」行為といったWebサイトを狙った攻撃の増加です。「サイト改ざん」は374件で、前四半期の291件から増加、「スキャン」行為も1380件で、前四半期の982件から拡大しています。その他「マルウェアサイト(158件)」「標的型攻撃(16件)」といった攻撃も前期を上回っています。

 

Webサイトを狙った攻撃の増加

JPCERT/CCのレポートに基づいたWebサイトを狙った攻撃の増加には主に、「サイト改ざん」と「スキャン」がありました。これらについて具体的に解説していきたいと思います。

サイト改ざん

Webサイト改ざんとは、企業などが運営する正規Webサイト内のコンテンツやシステムが、攻撃者によって意図しない状態に変更されてしまう攻撃です。攻撃者がWebサイトを改ざんする際の攻撃手法としては主に脆弱性攻撃による改ざん、管理用アカウントの乗っ取りによる改ざん、パスワードリスト攻撃の3種類があります。

1. 脆弱性攻撃による改ざん

  • Webサーバ上の脆弱性を攻撃することにより、最終的に改ざんを実現します。
  • 脆弱性の利用方法として、SQLインジェクション、Stored XSS、などの脆弱性攻撃により直接コンテンツの改ざんを行う方法と、脆弱性攻撃によりバックドアを設置するなどして遠隔操作で改ざんを行う方法の2つがあります。
  • 主に、サーバOS、Webサーバ、CMS、管理ツールなどのミドルウェアの脆弱性が狙われます。

改ざんの手口のうち、サーバーソフトウェアの脆弱性攻撃は、サーバ上で動いているCMS(コンテンツマネジメントシステム)やサービスの脆弱性を狙われるものです。例えばブログや簡易な企業サイトで使われているWordPress、Joomla!、Movable Type、XOOPSといったCMSの脆弱性がよく狙われています。

また「SQLインジェクション」攻撃もよく使われる手法です。セキュリティの対策が十分でないウェブサイトに、サイト内を任意のキーワードで検索できるフォームがあるとします。攻撃者がそのフォームへ不正な内容を盛り込んだSQL文を入力し検索を行うことで、そのSQL文の内容が実行されてしまうのです。これにより、本来は隠されているはずのデータが奪われてしまったり、ウェブサイトが改ざんされてしまったりします。攻撃者がウェブサイトに対してSQLインジェクション攻撃をしかけることで、不正なSQLの命令が実行されてしまい、ウェブサイトを利用者するユーザーのID・パスワード・クレジットカードの番号をはじめとした個人情報がすべて奪われてしまう可能性があります。

2. 管理用アカウントの乗っ取りによる改ざん

  • Webサーバにリモートアクセス可能な管理用アカウントの情報を窃取して乗っ取り、正規の方法でWebサイト操作を行って改ざんします。
  • 正規のWebサイト操作方法により改ざんが行われるため、被害に気づきにくい特徴があります。

正規のWebサイトに攻撃を仕掛け、中身を改ざんする手法ですが、その目的は、Webサイトにコンピューターウイルスを仕込んで閲覧者に感染させることです。以前は、いたずら目的でのWebサイトの改ざんが多く見られましたが、最近では、金銭が目的の被害が増えています。自社のサイトがこのような改ざん被害にあって、逆に顧客に被害を与える「加害者」になれば失墜する信頼は計り知れないものとなるでしょう。

3. パスワードリスト攻撃

  • パスワードリスト攻撃とは、攻撃対象となるWebサイトではない別のWebサイトから搾取したユーザー情報を使い、攻撃対象となるWebサイトで不正ログインを試みるサイバー攻撃です。
  • アカウントIDやパスワードをすべて別々に管理することが面倒なため、管理者PCや複数のWebサイトで同じアカウントIDやパスワードを使用しているケースがあります。

パスワードリスト攻撃とは、オンラインサービス等への不正ログインを狙った不正アクセス攻撃の一です。不正ログインのためにIDとパスワードがセットになったリストを利用することから本名称となっています。パスワードリスト攻撃を受けたとなると、Webサービスに対するユーザーからの印象が著しく低下します。「リスト型攻撃は他のウェブサービスから入手したアカウントとパスワードを使って不正アクセスする攻撃だ。ユーザーのアカウントとパスワードの管理の問題だ。」という見解の方もいらっしゃるでしょう。しかし、ユーザーの視点では「不正アクセスを許して個人情報の流出があったサービス」のように見えてしまうのです。

スキャン

スキャン攻撃とは、サイバー攻撃者が、攻撃先を探すために行うポートスキャンです。脆弱性の探索や侵入、感染の試行などを検知した件数が今回のレポートで増加し、警告されています。ポートスキャン自体は、サーバなどに対して稼働しているサービスを探り、開放されているポートを調べる行為で違法なものではありません。しかし、攻撃の事前準備として行われることが多いため、日常から適切な対処が必要となります。サイバー攻撃の手口は年々巧妙化していますが、システムの脆弱性を突くのが攻撃の基本となります。その脆弱性を見つけ出すためにポートスキャンは使われるのです。例えば、空いているポートがわかれば、そのポートを侵入経路として利用することができます。またサーバのOSやバージョンがわかれば、OSに依存する脆弱性を突くことができるのです。ポートスキャンも同様に、これ自体はサイバー攻撃ではなくても、これから被害が発生するかもしれないサイバー攻撃の予兆としてとらえることが重要です。

 

WAFで防御できること

こうした警鐘をならされているWebサービスへの攻撃の増加に対し、有効なのがWAFを用いた防御システムです。例えばWAFで防御できることには以下の様な項目があります。

  • SQLインジェクション
  • クロスサイトスクリプティング(XSS)
  • クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)
  • OSコマンドインジェクション
  • ディレクトリリスティング
  • メールヘッダインジェクション
  • パス名のパラメータの未チェック/ディレクトリトラバーサル
  • 意図しないリダイレクト
  • HTTPヘッダインジェクション
  • 認証とセッション管理の不備
  • 認可制御の不備、欠落
  • クローラへの耐性

Webアプリケーションに関する脅威をブロックできるのが「WAF」です。WAFを使えばWebアプリケーションに脆弱性があったとしても安全に保護することができます。最近となっては、システムのクラウドへの移行という傾向もあり、クラウド型WAFが注目を集めています。従来のアプライアンス型WAFと比べ、専門の機器の導入やセキュリティ担当者による運用が必要ありません。そのため、リーズナブルな価格で短期間で導入できるといったメリットがあります。クラウド型セキュリティ・プラットフォーム・サービス「クラウドブリック(Cloudbric)」はWAF(Web Applicaion Firewall)サービスに加え、DDoS攻撃対策、SSL証明書、脅威情報データベースに基づく脅威IP遮断サービス、ディープラーニング(AI)エンジンによるWebトラフィック特性学習サービス、といったWebアプリケーションを守るトータル・セキュリティサービスを提供します。

Webアプリケーションを業務で利用するときは、セキュリティ上の脆弱性に注意しなくてはいけません。アプリケーションの開発者がセキュリティ対策を行っていても、人の手で作成されているため、脆弱性を完全になくすのは難しいでしょう。WAFはWebアプリケーションを保護する専用のファイアウォールのため、導入することでWebアプリケーションを安全に利用できます。
今現在、JPCERTのレポートからもわかるようにWebアプリケーションやサービスへの攻撃は劣えてはいません。それらの攻撃に備え、防御するにはWAFを導入することが望ましいといえます。
クラウド型セキュリティ・プラットフォーム・サービス「クラウドブリック(Cloudbric)」につきまして、詳しくは下記リンク先をご確認ください。

https://www.cloudbric.jp/cloudbric-security-platform/