
企業が利用しているソフトウェアの透明性を高め、脆弱性の管理やライセンスコンプライアンスの確保を効率化したいなら、SBOMの導入がおすすめです。企業のセキュリティ強化を図りたい情報担当者に向けて、SBOMの概要や重要視される背景、導入するメリットと付随する課題などを解説します。自社のニーズに合ったSBOM管理ツールの選び方も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
SBOM(Software Bill of Materials)とは
「SBOM(エスボム)」とは、「Software Bill of Materials」の頭文字を取った言葉であり、日本語に訳すと「ソフトウェア部品構成表」です。ソフトウェアを組み立てるコンポーネント(構成要素)やライセンス情報、脆弱性、依存関係などを一覧にしたものを指します。わかりやすい例として、食品包装に記載されている食品表示(原材料名や添加物、製造者など)のようなものです。
その他にも、ソフトウェアに関する以下の情報が含まれます。
- サプライヤー名
- コンポーネントのバージョン
- タイムスタンプ
- SBOM作成者 など
SBOMはソフトウェアの詳細情報をすぐに確認できるだけではなく、関係者間での共有により、ソフトウェアサプライチェーンの透明化やセキュリティの強化、ソフトウェア管理にまつわる課題解決につながります。
SBOMが重要視される背景
アメリカでは、2021年に発行された「米国大統領令14028(米国サイバーセキュリティ大統領令)」をきっかけに、SBOMの重要性が問われ、多くの企業がSBOMの導入に積極的な姿勢を取るようになりました。
日本でも、SBOMの導入に向けた取り組みが広がりつつありますが、その背景には以下の事情が挙げられます。
・ソフトウェアサプライチェーン攻撃が増加している
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が2024年に発表した「情報セキュリティ10大脅威 2024(組織)」によると、「サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃」が2位にランクインしており、10大脅威のひとつとして取り上げられるのは6年連続6回目です。
参照:情報セキュリティ10大脅威 2024|IPA
ソフトウェアサプライチェーン攻撃のターゲットとなった組織は、大規模な被害を受け、信頼性や業務継続にも深刻な影響が及ぶおそれがあるため、厳重な対策を講じなければなりません。
・経済産業省がSBOM導入の手引を発表した
日本でもSBOMの重要性が認識されており、経済産業省が2023年に「ソフトウェア管理に向けたSBOM導入に関する手引」を公開し、SBOMの導入に向けた取り組みを推進しています。
その手引には、SBOMの基本情報をはじめ、導入における実施事項や認識しておくべきポイントがフェーズごとにまとめられています。さらに、ソフトウェア管理の効率化やセキュリティの強化を図る具体的な方法も併せて確認できます。
SBOMを導入するメリット
SBOMを導入するメリットを3つ解説します。
・ライセンス違反リスクを軽減できる
企業が利用しているOSS(オープンソースソフトウェア)やサードパーティ製コンポーネントのライセンス情報の正確な把握が可能です。
ライセンス情報が一元管理されると、各コンポーネントのライセンス情報を簡単にチェックできるため、新たなコンポーネントを組み立てる場合も含め、ライセンス違反の未然防止に役立ちます。
また、SBOMツールの自動管理機能を活用すれば、工数や人的ミス、運用コストの削減にも効果的です。
・脆弱性管理にかかる時間・コストを低減できる
ソフトウェアのコンポーネントを詳細に可視化できることから、どこにどのような脆弱性が発生しているかを見極められます。新たな脆弱性が検出された場合、影響が及ぶ範囲の正確な特定がスムーズです。
また、SBOMツールを活用すれば、脆弱性スキャンや修正作業の効率化、コスト削減が可能な上、ソフトウェアの信頼性や安全性の向上にも寄与します。
・開発効率と生産性が向上する
既存コンポーネントを再利用する場合、SBOMに過去に利用されたコンポーネント情報が記録されているため、新たな調査や承認作業は必要ありません。開発者は機能開発や品質向上に集中できることで、開発効率と生産性の向上につながります。
また、ソフトウェアを可視化し問題を早期発見することで、開発期間の短縮や開発コストの削減などが可能です。
SBOMを導入する際の課題
既出の手引によると、SBOMの導入にはコストや人材、技術面などのさまざまな課題があります。また、SBOMの位置づけや効果が正しく認識されていないことも課題のひとつです。
さらに、脆弱性情報の誤りやコンポーネントの誤検出・検出漏れが発生するおそれもあるため、出力結果は人の目できちんとチェックしなければなりません。
参照:ソフトウェア管理に向けた SBOM(Software Bill of Materials)の導入に関する手引 ver 2.0 |経済産業省 商務情報政策局 サイバーセキュリティ課
SBOMの導入を考えているものの、社内にセキュリティ専門家がいない企業には、手軽に運用できるセキュリティプラットフォーム「Cloudbric WAF+(クラウドブリック・ワフプラス)」の利用がおすすめです。
Webセキュリティの確保に必要とされる、以下の5つのサービスをまとめて利用できます。
- WAFサービス
- DDoS攻撃対策サービス
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- 悪性ボット遮断サービス
エージェントやモジュールなどのインストールは不要である上、「サービス申し込み」→「セキュリティプラットフォーム構築」→「DNS情報変更」の3ステップを踏めば、導入は完了です。自動レポート作成機能やわかりやすいUIにより、脅威の見える化を実現します。
SBOM管理ツールを選ぶ際の注意点
SBOMを管理するためのツールを選ぶ際に留意すべき3つのポイントを紹介します。
・必要な機能が揃っているか
SBOM管理ツールを選ぶ際の条件として、まず確認すべきことは、自社のニーズに合う機能が備わっているかどうかです。
例えば、導入の主な目的がセキュリティ対策の場合、脆弱性の検出やリスク評価、トリアージ(優先順位付け)、対応管理機能などが充実しているものが求められます。
一方、コンプライアンス遵守やOSSライセンス管理を重視する場合は、ライセンス情報の解析や違反検出機能などが必要です。
・脆弱性の検出性能が高いか
極めて重要な前提として、コンポーネントの脆弱性を正確かつ迅速に特定できる脆弱性の検出性能も欠かせません。
この性能が高ければ高いほど、セキュリティリスクへの早期対応が可能となり、開発プロジェクト全体の安全性が向上します。
・既存の外部ツールと連携が可能か
既存のツールやシステムとの連携性も必要な要素であり、特に構成管理ツールやCI/CDパイプライン、脆弱性データベースなどとの連携可否を確認しておくことで、効率的な運用につながります。
例えば、SBOM管理ツールと構成管理ツールを連携させると、ソフトウェア構成情報を自動的に取り込み、SBOMの生成や更新の効率化を実現できます。
まとめ
ソフトウェアの詳細情報を確認できるSBOMの導入には、脆弱性管理にかかる時間やコストの削減、ライセンス違反リスクの軽減、開発効率と生産性の向上など、さまざまなメリットがあります。SBOM管理ツールを選ぶ際は、求める機能の有無や脆弱性の検出性能の高さ、既存の外部ツールとの連携可否をチェックすべきです。
また、SBOMの導入時には、社内にセキュリティ専門家がいなくても、手軽に運用できるクラウド型WAFサービス「Cloudbric WAF+」の活用がおすすめです。セキュリティを強化して、企業のWebシステムを守りましょう。
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